現在、当院では白癬検査が実施できないため、下記の治療を中止しております。
ご不便をお掛けしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
爪白癬とは、爪にできる水虫で、白癬菌(はくせんきん)というカビが爪の中に感染して、爪の厚くなったり変形する病気です。爪白癬は、足の親指の爪にできることが多いです。爪白癬は多くの場合、足白癬に続いて起こりますが、気づかないで放置して、知らない間に悪化させてしまうこともあります。日本人の10人に1人かかっているともいわれ、見逃されやすい病気です。
爪白癬の原因は、白癬菌というカビで足水虫と同じ菌です。爪白癬のほとんどは、白癬菌が爪の中に侵入し、爪の下部である爪甲下(そうこうか)をすみかとするものです。爪の表面は硬くできているため、白癬菌も侵入しづらいのですが、爪甲下は水分が多くて軟らかく、またケラチンも豊富に含んでいるために、白癬菌にとって格好のすみかとなります。足水虫がある場合は、足水虫からは白癬菌が供給されて爪白癬になることもあります。
爪白癬は水虫の一種ですが、自覚症状が少なくかゆみも出ることはありません。
主に以下のような爪の変化がおこります。
① 爪が変形する
② 爪がボロボロ欠ける
③ 爪が白色や黄色に濁る
④ 爪が厚くなる
⑤ ひどくなると、細菌が感染して痛みを感じることもある
爪白癬の検査は、水虫と同じく顕微鏡検査により行います。爪白癬と思われる部分の一部を採取し、白癬菌の有無を調べます。白癬菌が確認されると、爪白癬であると診断されます。
当院では、顕微鏡検査で、爪白癬の確定検査を実施しています。
普通の足白癬と違い治りにくいと言われる爪白癬の治療には、従来は内服治療しかありませんでしたが、近年、新しい効果の高い外用薬の治療が使えるようになりました。薬物療法には、経口薬のテルビナフィン(ラミシール®)とイトラコナゾール(イトリゾール®)と、外用薬のエフィナコナゾール(クレナフィン®)、ルリコナゾール(ルコナック®)があります。ラミシールは1日1回朝食後に約6ヶ月間毎日飲み続けます。イトリゾールは、パルス療法といって通常よりも多い量の薬剤を1週間飲んで3週間休むことを3回(3ヶ月間)繰り返します。経口抗真菌薬には、肝障害などの全身的副作用や薬物相互作用も多く、特に高齢などで複数の治療薬を服用している患者では使用が制限される場合もあります。
一方、新しい外用薬であるクレナフィン、ルコナックは、従来の外用抗真菌薬と異なり、爪の中まで浸透する強い殺菌作用を持つことが証明されています。また、爪白癬の病型で,縦に楔状の混濁が見られるものは,内服薬でも治らない難治性として知られていますが、クレナフィン、ルコナックは,この難治性爪白癬にも改善効果が得られる事が報告されてきています。
クレナフィン | ルコナック |
爪水虫飲み薬(ラミシール、イトリゾール)と爪水虫塗り薬(ルコナック、クレナフィン)は、変形、変色した爪を直接治す効果はありません。
そのため、変形、変色した爪が押し出されて、新しい健康な爪に生え変わるまで使い続ける必要があります。
爪の生え替わりには一定の期間を必要とします。一般的に、新陳代謝による爪の生え替わりの期間は、手の爪で約6ヵ月、足の爪では約1年かかるといわれています。そのため、爪白癬の治療は、少し良くなったからやめるのではなく、1年間はしっかり治療を継続することが必要です。
出典:爪白癬患者さんのための「爪白癬治療の心得」
カビの一種である白癬菌は、高温多湿のジメジメとした状態を好みます。爪白癬の予防においては、白癬菌の繁殖を抑え、周囲の人間にうつさないように白癬菌の好む状況を生活環境から取り除くことが大切です。
具体的には、以下のような対策があげられます。
白癬菌を生活環境から排除する方法
① 足を良く洗い清潔にします。
② 足をよく乾燥させ、湿ったままの状態にしないようにします。
③ 部屋の通気を良くします。
④ 足に直接触れるもの(バスマットや靴下等)はこまめに洗濯をします。
⑤ 頻繁に床の掃除します。
爪が変色していたり、厚くなっていると爪水虫ではないかと思ってしまいますが、実際は爪水虫ではなくても、同じような症状がでることもあります。顕微鏡検査、培養検査で白癬菌がいるかどうか確認することが重要です。