糖尿病、高血圧、脂質異常、高尿酸血症などの生活習慣病は、たとえ自覚症状がなくても、将来の脳卒中・心筋梗塞などの心血管疾患発症の危険性が高いと言われています。
糖尿病、高血圧、脂質異常、高尿酸血症などの生活習慣病は、たとえ自覚症状がなくても、将来の脳卒中・心筋梗塞などの心血管疾患発症の危険性が高いと言われています。
適応がある方には、インスリン注射から内服薬への切り替え、あるいは、インスリン注射からインクレチン注射薬への切り替えを、積極的、かつ、安全に行っています。
診察では、患者様の今までの病歴や治療状況を確認します。さらに、詳しい追加検査により、患者様の体の中に残っているインスリンの予備能力(内因性インスリン)を正確に把握して判断します。
インスリン注射から内服薬への切り替え、あるいは、インスリン注射からインクレチン注射薬への切り替えにより、糖尿病コントロールの劇的な改善に加えて、
患者様のQOL(生活の質)の改善が得られる方が増えており、患者様に高評価を頂いています。
当院では、糖尿病の検査ついては、患者様の負担軽減のため、耳からの微量血液でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を院内のHbA1c測定器を使って迅速に連続測定しています。
一人、約45秒で測定できます。
血糖値とHbA1cの測定であれば、腕からの採血は必要なく、耳からの微量血液で測定できるので、採血がとりにくい方など多くの患者様に大変喜ばれています。
(平成24年4月から導入された国際基準値(NGSP値)に対応しています。)
その他、肝機能、腎機能、尿酸、コレステロールなどの一般検査も院内の測定器を使って迅速に連続測定しています。
これらの一般の血液検査の場合は、腕からの採血が必要ですが、他院では追随できない、一人、約10分の迅速測定ができます。
よって、当日に結果をお知らせすることができ、待ち時間も非常に少なくて済みます。
低血糖は、糖尿病治療後(内服薬・インスリン注射・インクレチン注射)に起こる低血糖以外に、糖尿病以外の下記の様々な原因で低血糖は起こります。
糖尿病治療後に、頻回に起こる低血糖でお困りの方、または、原因不明の低血糖と言われお悩みの方は、是非、当院で御相談下さい。
原因を正確に診断し、適切な治療を御提案します。
院長は、糖尿病専門医であり、稀な低血糖の患者様の治療経験も豊富です。
糖尿病に関しては、
の方々など様々な患者様を幅広く診察し、専門医から見た適切な治療法について、御相談させて頂いています。
また、他院通院中の方でも、糖尿病コントロールが悪くて困りの方、あるいは、糖尿病の合併症でお困りの方は、是非、当院で糖尿病治療や合併症の治療について御相談下さい。
最新の糖尿病治療に対する知識を有する糖尿病専門医である院長が丁寧に御相談に応じています。
栄養相談も連日行っています。糖尿病教室や健康セミナーも適宜開催しています。
詳細は糖尿病教室内容のページからご確認下さい。
また、海外旅行に行かれる方で御希望の方には、英文診断書(英文の治療内容証明書)を作成させて頂いています。
こちらは海外旅行時の税関通過時や荷物チェックの際に持参されていると安心です。是非、御活用下さい。
詳細は英文診断書作成のページからご確認下さい。
以下は、糖尿病、脂質に関する少し難しい専門的な知識のため、興味のある方のみご覧下さい。
体の中で血糖を下げるホルモンであるインスリンの作用が不足したり、インスリンが効きにくい状態となって高血糖になってしまう病気です。
糖尿病は、血液中のブドウ糖の量(血糖値)をもとに診断されます。朝食前血糖値126mg/dl以上または、食後血糖値200mg/dl以上のいずれかが、2回以上確認された場合に糖尿病であると診断されます。
また、検診等で血糖値の異常が指摘され、糖尿病が疑わしいケースでは、ブドウ糖負荷試験を行います。糖尿病は大きく分けると、1型、2型、遺伝子の異常やほかの病気が原因となるもの、妊娠糖尿病の4種類に分類されます。
A)膵臓のβ細胞というインスリンを作る細胞が急激に破壊され、からだの中のインスリンの量が絶対的に足りなくなって起こる急性発症の糖尿病(急性1型糖尿病)です。
多くは、子供のうちに始まることが多く、以前は小児糖尿病とか、インスリン依存型糖尿病(IDDM)と呼ばれていました。
しかし、まれに、成人時に発症するケースもあります。
1型糖尿病の原因については、遺伝や環境が原因という説がありますが、厳密にいうと、まだはっきりとその原因はわかっていません。
B)1型糖尿病は、それ以外に、成人に緩徐に発症する1型糖尿病があります。
発症時のタイプは2型糖尿病ですが、年数したがって徐々にインスリン分泌能が低下し、最終的にはインスリン依存状態となる糖尿病を緩徐進行型1型糖尿病(SPIDDM)と言います。
SPIDDMの臨床的な特徴は以下の通りです。
発症好発年齢は30~50歳であり、急性発症の1型糖尿病に比べ高齢である。
膵島関連自己抗体(GAD抗体,IA-2抗体,ICAおよびインスリン自己抗体)が単独もしくは複数(過去and/or現在)陽性を示し、一見2型糖尿病の臨床像を呈する。
急性発症の1型糖尿病に比べ、GAD抗体価は高く、長期間陽性を示す。
高感度なC-ペプチド(CPR)の測定系でのみ検出できる程度の、僅かなインスリン自己分泌機能の残存があるが、数年間でインスリン依存状態になることが多い。
β細胞は若干残存している場合が多い。一方、膵外分泌腺組織には顕著な萎縮が認められ、しばしば外分泌腺周囲にCD-8陽性のリンパ球浸潤を認める。また、膵外分泌腺抗体が持続陽性を示す場合がある。
膵外分泌機能は検査は低値をしめすことが多い。
なお、SPIDDMの症状にはかなりの個人差があり、自覚できる程度の高血糖症状(口渇、多尿、体重減少)が現れない場合には、全くそれとは気が付かないうちに腎症や神経障害などの糖尿病性合併症が進行しているケースがあります。
劇症1型糖尿病というのは、急激に1型糖尿病を発症する糖尿病です。どれくらいあっという間かというと、1週間以内です。
小児期発症の1型糖尿病では通常、1週間以内に発症することはありません。
ところが劇症1型糖尿病は、先週健診を受けて異常なしと言われた人が、今週に高血糖(ほとんどが300~500くらいの高血糖)でふらふらになって病院を訪れるといった具合に、発症するまでの期間が非常に短いのが特徴です。
症状としては、口渇が最も多く(この症状が特徴的)、次に、発熱、喉が痛い、咳などの感冒様症状や、上腹部痛、悪心、嘔吐などの腹部症状です。
そして、高血糖とともに、血液が酸性状態に傾く糖尿病性ケトアシドーシスとなり、さらに進むと、意識障害・昏睡も起こしてきます。
症状が出てから糖尿病性ケトアシドーシスになるまでが非常に短期間なので、高血糖の割に、HbA1cは6~7%台と高くないのが特徴です。
劇症1型糖尿病は、小児期に発症するのは珍しく、通常は20歳以上の大人に多いのです。
60~80歳の高齢者に発症してしたという例もあります。妊娠に関連して発症したケースも報告されています。
劇症1型糖尿病の診断基準(糖尿病48(suppl1):A1-A13、2005)
インスリンの出る量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などの細胞へのインスリンの働きが悪いために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こるものがあります。
食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。
わが国の糖尿病の95%以上はこのタイプです。
2型糖尿病の主な原因は、インスリン作用不足と考えられており、内臓脂肪の増加や運動不足によって表れる内臓脂肪型肥満が密接に関連しているといわれています。
また、それ以外にも遺伝や環境・過度なストレス・加齢・食物の過剰摂取なども原因になるといわれています。
これが、生活習慣病といわれるゆえんであり、糖尿病の患者数は年々急激に増え続けています。
多くの場合、自覚症状がないまま進行し合併症を発症しますので、日頃から健康診断などにおいて、無症状の時期に糖尿病を発見し、治療を開始することが重要です。
遺伝子の異常や肝臓や膵臓の病気、感染症、免疫の異常などのほかの病気が原因となって、糖尿病が引き起こされるもの。
薬剤が原因となる場合もあります。
妊娠糖尿病とは、妊娠中に、はじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。
あきらかな糖尿病は含めない。もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といいます。
妊娠中に血糖値が高い場合には、母体のみでなく、胎児にもさまざまな影響が出てきます。
母体では早産、妊娠高血圧症候群、羊水過多症、尿路感染症が、胎児には巨大児、新生児の低血糖が起きやすく、子宮内で胎児が死亡することもあります。
さらに、妊娠前から血糖値が高かった可能性の高い場合には、流産しやすく、また生まれてきた子どもが先天奇形を合併していることもあります。
妊娠中に発見される耐糖能異常hyperglycemic disorders in pregnancyには、
1.妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM)、2.明らかな糖尿病overt diabetesの2つがあり次の診断基準により診断する。
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
妊娠中の中期には、胎盤の中で血糖値を上昇させるホルモンが作られるのでインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上がりやすくなります。
また、妊娠中の後期にはインスリンの量が身体にたくさん必要になりますが、このときにそれに見合ったインスリンが作られない場合には高血糖になってしまい、糖尿病の症状が出ることがあります。
インスリンがうまく分泌できない原因はいくつかありますが、もともと先天的な体質(遺伝)の問題である場合も多いです。
家族、親戚などの身内に糖尿病の方がいれば、妊娠糖尿病にもなりやすい可能性があります。
妊娠糖尿病の主な症状は、高血糖が続くことによる弊害です。
妊娠への問題として妊娠中毒症になりやすく、流産や早産の可能性が出てきます。
また、胎児に母体から糖分が移行するために胎児の方も高血糖になりやすく、巨大児が生まれることになります。
この場合は通常の出産が困難なので帝王切開が必要になることもあります。
そして母体にもその後も悪影響が出たりします。
眼や腎臓に合併症が併発してしまったり、妊娠糖尿病の症状が妊娠後も治らないときに放置しておくことで本物の糖尿病へと発展してしまうケースもあります。
高脂血症(脂質異常症)とは、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が多過ぎる病気のことです。
高脂血症を放置し動脈硬化が進んでも症状がほとんどない"沈黙の病気”です。
やがて動脈内腔が狭くなり、血栓が形成されて脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などの重篤な血管合併症がおこります。
高脂血症(脂質異常症)の定義 | |
---|---|
コレステロールが高い (高コレステロール血症) |
総コレステロール値 220mg/dl以上 またはLDLコレステロール値 140mg/dl以上 |
中性脂肪(トリグリセライド)が高い | トリグリセライド値 150mg/dl以上 |
HDLコレステロールが低い (低HDLコレステロール血症) |
HDLコレステロール値 40mg/dl未満 |
欧米の大規模臨床試験では、高脂血症治療により、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生予防(一次予防)や狭心症や心筋梗塞の人の再発予防(二次予防)が可能が否かが研究されてきた。
これらの研究から、スタチン系の高脂血症治療薬の服用により悪玉LDLコレステロールが低下すると、発生予防が2~3倍あるとされ、特に再発効果が顕著である。
米国のフィブラート系の薬剤を用いた研究(VA-HIT)では、悪玉LDLコレステロールが低下しなくても、トリグリセライドの減少と、善玉のHDLコレステロールの上昇により、心筋梗塞などの冠動脈事故(22%)や脳梗塞(27%)が減少すると報告している。
日本での成績では、トリグリセライドが上昇すると狭心症などの虚血性心疾患の発生が激増する。
トリグリセライド100mg/dlのときの危険度を1とした場合、
250mg/dlまで上昇すると日本では5倍、アメリカの1.7倍に比べて遥かに危険である。
遺伝も関係するが、8割以上は食べすぎ、高脂肪食、運動不足がどの生活習慣、肥満などが関与している。従って適切な食生活が重要である。
高コレステロール血症の人では体重が1kgの増えると総コレステロール値が20~40mg/dl上昇し、逆に体重が減少すれば総コレステロール値や悪玉コレステロールが低下する。
従って標準体重に近づくように適切な総エネルギー量(kcal)になるようにカロリー制限が必要である。
以下に標準体重と総エネルギー量(kcal)の計算式を示します。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
例えば160cmの人では1.6×1.6×22=56.3kg
適切な総エネルギー量(kcal)は標準体重と生活活動の強度から計算される。
すなわち総エネルギー量(kcal)=標準体重(kg)×生活活動強度指数(kcal)
生活活動強度指数
*軽労働(主婦・デスクワーク):25~30kcal
*中労働(製造・販売業・飲食店):30~35kcal
*重労働(建築業・農業・漁業):35~40kcal
例えば標準体重が60kgで主にデスクワークの人の適切な総エネルギー量は1500~1800kcalとなる
ただし肥満があれば目標値を低めに設定する必要がある。
わが国では総エネルギー摂取量における脂肪の割合は年々増加し、この30年間で20%未満から27%に増加し、特に若い年代で増加が顕著である。
心筋梗塞の増加が危惧され、脂肪摂取量は25%以下に抑制する。
さらに、飽和脂肪酸(主に獣肉類の脂肪)と不飽和脂肪酸(主に植物性脂肪や魚の脂肪)の摂取比率を1:1.5~2の割合にするように心がける。
魚に含まれるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸はコレステロールや中性脂肪を下げ、血液をさらさらにする作用があることから、魚料理が勧められている。
さといも、かぼちゃ、大豆製品、ネーブルやいちご、しいたけなどのきのこ類やひじき、寒天などの海藻などは繊維を多く含み、脂肪の吸収を抑制し、コレステロールを低ささせるので積極的に摂取する。
ビタミンE(かぼちゃ、ほうれんそう、たらこ、緑茶、植物油、ナッツ、果物)、ビタミンC(野菜、果物など)、βカロチン(青のりなどの海藻、黄緑野菜、玉露、にんじんなど)やフラボノイド(果物:りんごなど、野菜:たまねぎなど、緑茶などの茶類、赤ワイン、大豆など)をしっかり摂取する。
これらは悪玉コレステロールが動脈壁に入り込み、酸化されて動脈硬化を来たすのを防ぎます。
コレステロール摂取量を1日300mg以下にし、コレステロールを多く含む食品を控える。
肉の脂身や霜降り肉、バター、生クリームやアイスクリームは、コレステロール値を上げやすいのでとり過ぎに注意。
鶏卵1個のコレステロールは約250mgであるので1日1個が限度である。
砂糖、菓子類や果物などの糖分摂取を制限し、アルコールも1日に日本酒にして1合程度、ビ-ルなら中びん1本、ウイスキ-はダブルで1杯、赤ワイングラス2杯程度に制限する必要がある。
高脂血症の運動療法
ウォーキング、ジョギング、水中歩行などの少し汗ばむ程度の有酸素運動が勧められている。
可能ならば1日30分以上週3~4回以上行うことが望ましい。
ただし、心臓病や血圧の高い人は主治医と相談してからはじめて下さい。
分類 |
LDLコレステロール |
HDLコレステロール |
中性脂肪 |
効果 |
薬品名 |
---|---|---|---|---|---|
HMG-Co還元酵素 |
↓ |
↑ |
肝臓でのLDL-コレステロールの合成を抑制 |
メバロチン、リピトール、リポバス、クレストール |
|
ブロブコール |
↓ |
コレステロールが酸化し、血管に付着するのを防ぐ |
シンレスタール |
||
陰イオン交換樹脂 |
↓ |
腸でコレステロール吸収抑制と胆汁酸排泄促進 |
コレバイン |
||
フィブラート系 |
↓ |
↑ |
↓ |
中性脂肪の合成抑制 |
ベザトールSR、 |
ニコチン酸誘導体 |
↓ |
↑ |
↓ |
脂肪酸が集まって中性脂肪になるのを防ぐ |
ユベラN |
イコサペント酸エチル |
↓ |
血小板機能抑制 |
エパデール |
||
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 |
↓ |
↓ |
胆汁性および食事性コレステロールの吸収を選択的に阻害 |
ゼチーア |