1. 治療の目標は
1型糖尿病では、普段の食生活や身体の活動度や、運動の習慣とインスリンの治療をうまく組み合わせることが必要になります。子どもの場合、心身の正常な成長と発育が必要になりますので、食事とインスリンの治療をある程度自由にすることが大切になります。思春期より後では、子どもの生活習慣を把握して、治療を生活習慣に合わせていくようにします。
血糖値管理の目標は、18歳以上であれば成人と同じ管理目標を設定するようにします。そしてインスリンの体重1kgあたりの使用量は、思春期に入る前から思春期に入ってから増えることが多くなっています。思春期以降では、1日2回のインスリン注射法よりも、3~4回の注射法の方で血糖コントロールが良いことが多く、積極的にインスリン注射の回数を増やすようにしていきます。
なお、6~7歳未満の子ども場合では低血糖に気づかないことがあります。低血糖は認知障害を強めてしまう可能性ありますので、低血糖を避けるようにしなくてはなりません。低血糖を避けるためには、インスリン注射の量や時間、さらにはエネルギーの摂取に気をつける必要があります。一方で、小学生や思春期以降では、血糖コントロールがきちんとできていなかったり、血糖が高い状態が続いても認知障害がもたらされることがあります。
2. 食事療法・運動療法で気をつけることは
食事療法で大切なことは、必要かつ十分にエネルギーを摂ることが正常に発育するためにも大切です。そして、血糖コントロールをきちんと行い、重症低血糖を起こさないようにします。そのためには、一人ひとりの食事の内容やインスリンの治療の内容を検討することで初めて可能になります。必要摂取エネルギーは下の表を参考して、標準体重も参考にします。
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なお、食事の炭水化物量に応じて、食前の追加インスリンの注射量を調節するカーボカウントという方法が、超速効型インスリンの使用とともに普及しています。
運動療法は、合併症で進行したものがなく、血糖コントロールが落ち着いていれば積極的に行いましょう。どんなスポーツをしても大丈夫ですが、激しい運動をすると低血糖が起こる可能性があります。そのため、子どもには事前に低血糖のことを十分に知らせておき、低血糖が起きたときの対処などを含めて、学校の先生方などに協力をして頂くようにお願いすることも大切です。