当クリニックでは急性高山病予防薬(アセタゾラミド(ダイアモックス®)を処方しています。
●急性高山病とは
急性高山病は、人間が海抜2,500m以上の高地に到達したときにおこる症候群です。場合によってはもっと低い所でも出ることがあります。しかし、3,000m以下では、重症な高山病はまれにしかありません。症状が起こる原因は、私たちの身体が高所における低い大気圧の酸素濃度に適応していないことによるものです。日本では登山者にみられるものが大部分ですが、近年、ペルー、ボリビア、チリなどの南米諸国、ネパール、チベット、中国西域などの高地への旅行者が増えているため、これらの人たちにもみられます。
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急性高山病は、安静と適切な治療をすれば、大部分の人が軽快・治癒しますが、一部の人は重症となり、肺に水がたまる高地肺水腫という病気になって死亡することがあります。
●高山病の症状
急性高山病は、高地に到達して8~48時間後に発病します。必ず、頭痛を伴い、消化器症状(食欲不振、吐き気、嘔吐)、倦怠感や疲労感、睡眠障害、めまい・ふらつき感などの症状がみられます。
高地肺水腫は、海抜2,700m以上の高地に到達した後、1~3日以内に発病することが多く、倦怠感が強く、歩行速度が遅くなり、足どりが不安定になって隊列に遅れたり、せき、たん、息切れが顕著になります。重症になると、食欲不振、喘鳴、血たん、意識障害がみられ、夜にはこれらの症状が悪化します。
●検査と治療
登山中なら、山岳診療所で血液中の酸素の濃度をはかります。
治療は、軽症ならば、安静、鎮痛薬の処方、および酸素吸入によって症状が軽くなります。薬物治療として、アセタゾラミド(ダイアモックス®)やステロイド(デキサメタゾン)薬も効きます。
高地肺水腫は、その初期の症状をとらえることが重要です。倦怠感、呼吸困難が目立ち、歩行速度の極端な低下、安静にしても脈が速い、呼吸が速いことなどが注意すべき早期の徴候です。
高地肺水腫と診断したら、患者さんをできるだけ早く低地へ移送する必要があります。高地に滞在を続けると、症状が悪化します。
薬物療法としては、高度の肺水腫、意識の障害があれば、ステロイド薬を使用し、感染をともなっている場合は抗生物質も使います。症状の改善のため、手軽な携帯型高圧チェンバー(ガモウバック)も有用で、海外登山遠征などで使われています。
●高山病の予防
2,500m以上の高地に登る場合には、登山前から体調を整え、高地の環境に順応できるように、ゆっくり登山することです。
かつて高山病にかかった人が登山する場合は、海抜2,500m以下のところに宿泊します。それ以上の高地に行くときには、日帰りにし、2,500m以下のところにもどるようにすると悪化が予防できます。
海外旅行などで、標高2,500m以上の高地に飛行機で行く場合は、到着後1~2日間は、その環境になれるまで、過激な運動を避け、安静にすることがたいせつです。
急性高山病の予防には、高地に到着する前日から4日間、アセタゾラミド(ダイアモックス®)(250mg)を1回125mg(半錠)を1日2回服用します。
治療の場合には、アセタゾラミド(ダイアモックス®)(250mg)1回250mg(1錠)を1日2回服用します。
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