新規糖尿病治療薬である、経口のGLP-1受容体作動薬が登場しました!
今まで、GLP-1受容体作動薬は、経口薬の開発は難しいと考えられていました。ペプチド構造で分子量が4000程度と大きいため、胃からの吸収が難しく、さらに消化酵素によりすぐに分解されてしまうので、飲み薬で効果を発揮するのが難しかったのです。
しかし、サルカプロザートナトリウム(SNAC)と呼ばれる吸収促進剤を添加することで、SNACと経口セマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の複合体が、ペプシンにより分解されにくくなり胃からの吸収が促進され、経口で十分な効果を発揮できるようになりました。
新薬情報オンラインより引用 (https://passmed.co.jp/di/archives/579)
経口のGLP-1受容体作動薬セマグルチドは、注射薬であるリラグルチドやエクセナチド、セマグルチドなどと同じGLP-1受容体作動薬という薬で、血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌を促進するGLP-1を補充する薬です。
セマグルチド注射薬は週一回の注射で済むというメリットがある一方、経口セマグルチドは一日一回経口投与、つまり口から飲むだけでいいという、他の注射薬とは一線を画す特徴を持った薬です。
服用方法が今までの薬と違いますので大事です。
※服用方法を間違えると効果が弱くなってしまいますので注意が必要です。
経口セマグルチドは胃で吸収される薬なので、空腹時(1日の最初の飲食前)に必ず服用して下さい。起床時がお勧めです。食後に服用すると吸収が悪くなり、効果が弱くなってしましまいますので注意が必要です。
服用する時は、コップ半分(約120ml以下)の水で服用して下さい。錠剤をかみ砕いたり粉砕したりしないでください。そして、服用後に飲み物を飲んだり、食事をしたり、他の薬を服用する場合は、服用後30分経ってからにして下さい。
服用し始めは胃腸障害が起きやすいので、比較的少ない量から始めます。1日1回3mgを4週間飲み続け、そのあとは7mgに増やします。ただし、3mgで効果が十分に感じられている場合はそのままにすることもあります。胃腸障害が出る可能性があると書きましたが、量を徐々に増やす一般的な服用方法で予防することができます。
また、経口セマグルチドは血糖を下げる薬なので低血糖になる恐れもあります。しかし、こちらも頻度は高くありません。しかし、経口セマグルチドをはじめとするGLP-1受容体作動薬は血糖値の上昇に応じて血糖値を下げるという作用のため、血糖値を下げすぎることがあまりないためです。
2型糖尿病患者さんを対象としたランダム化比較試験(PIONEER試験1~10)で、経口セマグルチドの血糖改善や体重への効果、安全性が評価されました。
PIONEER1~8では、26~52週の経口セマグルチドの投与でHbA1cが1.2~1.4%程度下がっています。
少なくともこれらの臨床試験では、セマグルチド注射薬を除く既存の糖尿病薬のなかで、最も強いHbA1c低下作用を発揮しています。
体重については、経口セマグルチド14mg投与により3~4㎏の体重減少を認めました。3㎎や7㎎では、体重減少効果はそれほどなさそうです。一方、セマグルチド注射薬の臨床試験では、5~7kgの体重減少を認めました。
経口セマグルチド14mg投与により、服用24週時点で2.4kg、52週時点で2.8㎏の体重減少効果を認めています。3㎎や7㎎では、体重減少効果はありませんでした。