新しい週1回のGLP-1受容体作動薬セマグルチドとは?
GLP-1注射薬ですが、インスリン注射ではありません。そのため、いつでもやめることが出来るインクレチン注射の事です。
普段、食事を摂ると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進する働きをもつホルモンをインクレチンといい、その一つがGLP-1になります。そのため、GLP-1注射薬は、すい臓からインスリンを分泌させる特徴があり2型糖尿病の治療薬として使用されています。
加えて、上記のように、GLP-1は、血糖降下以外に多彩な作用があり、膵臓への直接的な作用だけでなく、胃、脳、心血管、腎臓、免疫系、骨格筋、褐色脂肪組織、白色脂肪組織、肝臓、腸などの様々な臓器へも作用することが認められており、2型糖尿病の治療薬として今までにない可能性を有するのではないかと注目されています。
GLP-1受容体作動薬は、現在6種類あります。その中で、週1回のGLP-1受容体作動薬は3種類あり、従来からのエキセナチド、デュラグルチドに加えて、今回、新たに、セマグルチドが発売されました。これらには、
に違いがあります。
一般名 | 用量 | 用法 |
---|---|---|
リラグルチド | 1日 0.3-0.9mg |
1日1回 |
エキセナチド | 1日 10-20μg |
1日2回 朝・夕食前(60分以内) |
リキシセナチド | 1日 10-20μg |
1日1回 朝食前(60分以内) |
エキセナチド | 1週間 2mg |
1週間1回 |
デュラグルチド | 1週間 0.75mg |
1週間1回 |
セマグルチド | 1週間 0.25-1mg |
1週間1回 |
セマグルチドはメトホルミン併用下でデュラグルチドとの直接比較試験(SUSTAIN-7試験)において、セマグルチドの方がHbA1cの減少率と体重減少割合が有意に高かったことが示されています。
本試験ではセマグルチド(0.5mgまたは1mg)とセマグルチド(0.75mgまたは1.5mg)をそれぞれ40週投与し、低用量/高用量別で有効性を比較しています。
主要評価項目は「40週時点のHbA1cのベースラインからの変化率」でした。
試験名 | SUSTAIN-7試験 | |||
---|---|---|---|---|
試験群 | セマグルチド 0.5mg |
デュラグルチド 0.75mg |
セマグルチド 1mg |
デュラグルチド 1.5mg |
40週時点の HbA1cの変化率 |
-1.5% | -1.1% | -1.8% | -1.4% |
p<0.0001 | p<0.0001 | |||
40週時点の 体重の変化量 |
-4.6kg | -2.3kg | -6.5kg | -3.0kg |
p<0.0001 | p<0.0001 |
セマグルチドを週1回投与した患者は、デュラグルチドを投与した患者よりもHbA1cと体重が統計的有意かつ大幅に減少していました。
また、同試験において、0.5mg:-4.6kg、1.0mg:-6.5kgと著明な体重減少も示しており、その効果とエビデンスの面から期待される薬剤です。
セマグルチドは、大規模臨床試験SUSTAIN-6にて心血管リスクを低減する可能性が示されるとともに、腎症の新規発生および悪化を抑制することも示されました。
リラグルチドは高用量で使用した際に体重減少があったと報告されており、アメリカでは肥満の薬として使用されています。インクレチンの効果で食欲が低下するため、体重が減るといわれています。欧米の使用量は日本の使用量の数倍です。一方で、セマグルチドは海外と同量で認可を受けており、体重は5~7㎏減少したとされています。体重の多い2型糖尿病の方で、注射を打つことへの抵抗がなければ、セマグルチドを使用して体重を減らしつつ、糖尿病を改善することができる可能性があります。