当院で睡眠時無呼吸症候群治療を開始しました。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)という言葉、見たり聞いたりしたことはありませんか?事故を引き起こす原因ともされる睡眠時無呼吸症候群。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まる病気です。
寝ている間のことなので、自分でその症状に気づくことはなかなか難しく、検査や治療を受ける人が少ないのが現状です。
寝ている間の無呼吸が、日中の活動時に、判断力・集中力・作業効率の低下を招き、仕事や運転に悪影響を及ぼします。
何かが起きてからでは遅いのです。症状に心当たりがあれば、一度、検査を受けてみましょう。
当クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。
また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は頻繁に起こる無呼吸により、血液中の酸素の低下、中途覚醒による睡眠の分断等により多くの生活習慣病の合併症を引き起こすことが明らかになってきています。特に循環器疾患において、高血圧は健常人の2.89倍※1、夜間心臓突然死は健常人の2.57倍※2、脳卒中・脳梗塞は健常人の1.97倍※3リスクが高くなると報告されています。また、睡眠の分断が日中の眠気、集中力の低下を起こします。このことから、SASの人は交通事故を起こす頻度が健常人の2.5倍と言われており※4、SASが重症になればなるほど事故率が高くなると報告されています。これら合併症を低減するためにも閉塞性睡眠時無呼吸症候群の早急かつ適切な診断と、継続的な治療が最も重要です。
などの症状があげられます。
いびきは睡眠中に空気の通り道が狭くなり、そこを空気が通るときにのどの壁が振動して生じる音です。つまりいびきをかくという事は、気道が狭くなっているということです。
無呼吸の方はいびきを伴うことが多く、特に無呼吸から呼吸が再開する時に大きないびきが起こります。いびきを習慣的にかいている人は注意が必要です。
睡眠中に呼吸が出来なくなってしまう原因は、空気の通り道である気道が閉塞してしまう事によるものです。
気道が閉塞してしまう1つの理由は、肥満があげられます。肥満の為、空気の通り道にも脂肪がつき、気道を狭くしてしまいます。実際、肥満は無呼吸の患者さん全体の60%以上にみられます。
しかしながら、無呼吸は肥満の人だけに認められる病気ではありません。やせている人でも顎が小さい人や扁桃腺が大きい人は、もともと気道が狭い構造になっています。その上、睡眠中には喉の周囲の筋肉の緊張が緩むため、気道がさらに狭くなって、無呼吸が引き起こされます。
症状などお話をお聞きし、SASの可能性があるかどうかを診断いたします。
睡眠中の呼吸状態について簡単に判定する検査です。ご自宅で指先センサーと呼吸センサーをつけて血液中の酸素と呼吸の検査を行います。当院では携帯型の検査機器を導入しており、自宅で2~3日間寝る前に装着頂くだけで検査ができます。
※検査は予約が必要ですので、事前にお問い合わせ下さい。
PSG検査とは、睡眠状態と呼吸状態を併せて判定する専門的な精密検査です。PSG検査については、総合病院で行います。
脳波、呼吸状態、酸素レベル、体位、心電図などのセンサー類を体に取り付けて睡眠中の変化を正確に検査します。
この検査で、睡眠時無呼吸症候群の診断の確定及び重症度の判定を行います。
以下のAHI(Apnea Hypopnea Index 無呼吸低呼吸指数)が重要です。
① まず、簡易型睡眠時無呼吸検査にて重症度分類を判定する。
睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index 無呼吸低呼吸指数)と呼び、
この指数によって重症度を分類します。
軽症5 ≦ AHI <15
中等症15 ≦ AHI <30
重症30 ≦ AHI
② AHI40以上の超重症者
当院でCPAP(就寝時に無呼吸がおきないようにする鼻マスク型人口呼吸器)を導入します。(保険適応となります。)
CPAP導入の了解が得られれば、改めて日にちを決めて、CPAPの使用方法を業者さんに説明してもらい、以降自宅で実施します。
以降1ヶ月に1回は通院必要になります。
③ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)と思われる自覚症状の強い人(目安として、AHI15以上の中等度以上の患者)
病院で睡眠時ポリリソムノグラフィー検査(PSG)を受けることをお勧めします。病院に1泊入院が必要となります。
その結果AHI20以上ならCPAP導入(保険適応)となります。
当院でCPAP導入し、以降は1ヶ月に1回は通院必要となります。
④ 簡易型睡眠時無呼吸検査で、軽症あるいは、病院での睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG)でAHI20未満
治療は必要なく、経過観察となります。
または症状が強い人、患者の希望がある場合、歯科受診し、マウスピースを作成する治療方法があります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法にはさまざまな方法があります。口腔内装置による治療、手術による治療、そしてCPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)です。病状・状況により治療方法は異なります。また、生活習慣の改善も合わせて行う必要があります。生活習慣の改善でSASを治療する事は難しいですが、生活習慣病の予防には大変重要です。
CPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)とはCPAP装置からホース、マスクを介して処方された空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにします。この療法を適切に行うことで睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、SASによる症状の改善が期待されます。CPAPは治療効果が高い治療法です。またSASが原因で血圧が上昇している場合においては、降圧(血圧を下げる)効果の報告もあります。CPAP療法は検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適応になります。
口腔内装置とは、下あごを前方に固定して空気の通り道を開くようにするものです。口腔内装置の作成は、健康保険の適用になります。口腔内装置の作成、指導については、歯科口腔外科専門医へご紹介をさせていただきます。
気道閉塞の原因がアデノイド肥大や扁桃肥大などの場合には、手術によって取り除くことがあります。また、鼻閉を起こす鼻疾患は、CPAPや口腔内装置の治療を妨げるため手術が必要となることがあります。