クリニックでは、淋菌感染症(淋病)の検査および治療を保険診療、または自由診療でおこなっています。
診察は、男性の淋菌性尿道炎のみとなります。女性の陰部の淋病は診療しておりません。
咽頭淋病は男性と女性共に保険診療、もしくは自由診療もしております。
●原因
淋菌が尿道に感染し、炎症を起こすことで発症します。
●症状
感染後2日から7日前後の潜伏期間を経て、排尿時の痛み、尿道の入り口から多くの分泌物や、乳白色の膿が出るなどの症状があります。
クラミジアに比べると急激に症状が進み、排尿時の痛みも強く、分泌物の量が多い傾向にあります。
●検査
尿検査をおこないます。
この尿中淋菌PCR検査は、菌の遺伝子を増幅させる精密検査となります。当院では外部の検査会社に委託をしております。2~4日ほどで結果が確認できます。
●治療法
近年の傾向として抗生物質の効かない耐性菌の「淋菌」が増えていて、有効な治療薬が限られてきています。ニューキノロンやテトラサイクリンには80%前後の耐性があるとされており、第一選択とはなりません。
日本性感染症学会が推奨している、淋菌感染症(淋病)の治療薬は、セフトリアキソン(ロセフィン)の静脈注射単回投与(注射は1回だけ)が、第一選択剤です(推奨ランクA)。その他の、治療効果が期待できる薬剤としては、注射剤では、スペクチノマイシン(トロビシン)、セフォジジム(ケニセフ、ノイセフ)、内服薬では、アジスロマイシン(ジスロマック)、ミノサイクリン(ミノマイシン)等です。(確実に治療の効果を期待できるのは注射剤です。)
淋菌性尿道炎を疑う症状があれば、来院した日から治療を開始します。
●注意点
気づかないうちに、パートナーに感染させてしまっていることもあります。淋菌に感染していてしまったことがわかったら、パートナーにも知らせて性行為はお互い完治するまでは控えましょう。
●原因
のどの粘膜に淋菌が感染することによって引き起こされます。
●症状
のどの痛み・違和感などの症状があります。人によっては、あまり症状が出ないこともあります。
●治療法
抗生物質の点滴、もしくは飲み薬を使用します。淋菌性尿道炎に使用される筋肉注射は、のどへの移行がよくないため使用しません。
咽頭淋病が疑われる症状があれば、その日のうちに治療を開始します。
●注意点
気づかないうちに、パートナーに感染させてしまっていることもあります。淋菌に感染していてしまったことがわかったら、パートナーにも知らせて性行為はお互い完治するまでは控えましょう。
淋病とは、性感染症の一種であり、淋菌に感染することで生殖器を中心に炎症が生じます。特に男性では炎症を起こした部位に強い痛みを生じますが、女性は感染しても症状がないことがあり、気づかないうちにパートナーに感染させてしまうことや周辺臓器にも炎症が波及することがあります。
淋病は20歳代に感染者が多いといわれています。感染力が強く、一度の性行為で感染する確率はおよそ30%とされています。また、淋菌に感染した人は、他の性感染症を併発している可能性が高く、特にクラミジアは約3割の人が同時感染を起こしているといわれています。
オーラルセックスからも感染しますので、男性が風俗店を利用した際に感染してしまったというケースが増加しています。
感染者との性行為によって淋菌に感染することで発病しますが、オーラセックスでも口の粘膜に感染して淋菌性口内炎や咽頭炎を生じることがあります。アナルセックスで淋菌性直腸炎をおこす例も増えています。
また、母体が淋菌に感染したまま出産を迎えると、産道を通ったときに赤ちゃんに感染することもあります。
淋菌は高温にも低温にも弱く、通常の環境内では生存することができないため、接触感染は生じないと考えられています。しかし、淋菌に汚染されたタオルや入浴施設の椅子などを介して他者に感染することがまれにあります。
性的接触による感染機会があってから、男性では、感染後2~7日の潜伏期間を経て、尿道炎が引き起こされます。強い排尿時痛と勃起痛が生じ、尿道から膿のような分泌物が大量に排出されるのが特徴です。
この状態のまま放置しておくと、淋菌が尿道を通って精巣上体まで広がり、精巣上体炎を生じることもあります。精巣上体炎に進行すると、陰嚢が腫れ、強い痛みが生じることから歩行困難になることも珍しくありません。また、両方の精巣上体炎を生じると将来的に無精子症になることもあるので注意が必要です。
一方、女性の場合には男性ほど強い症状はみられません。淋菌に感染すると、子宮頸管炎を生じますが、症状はおりものの増加や軽度な不正出血のみで痛みはほとんどないため、見過ごされることが多いといわれています。
しかし、未治療の状態が続くと、卵管炎や卵巣炎を生じるだけでなく、骨盤内にまで炎症が波及し、骨盤腹膜炎や肝臓周囲の炎症を起こすFitz-Hugh-Curtis症候群を発症することもあります。
結果として、炎症によって卵管が癒着し、不妊症や子宮外妊娠の原因となることもあります。
オーラルセックスによる咽頭への感染は、男女ともに生じますが、軽度の口内炎ができるのみで自然と治ることが多いです。
また、出産時に産道で淋菌に感染した新生児は、特に眼球に炎症を起こし、重症な場合には失明することもあります。眼球に感染した淋菌は血行性に全身に行きわたって心内膜炎や腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあり、母体が淋菌感染を起こしている場合には出産前の確実な治療が必要となります。
淋菌は人から離れて空中や地面などで生きられる細菌ではありません。
また、温度の高低にも非常に敏感で死滅してしまいます。
淋病は薬の進歩もあって内服や注射などの治療で短期間で治療できる病気ですが、途中で抗生物質の飲み忘れたり、治療を放棄してしまうとたちまち再発を繰り返す特徴があります。
医師から治癒したことを伝えられるまでは、最後までしっかりと治療と検査を続けるようにしましょう。
淋病をはじめとした性感染症ではひとつの種類に感染した状況でも、他の性感染症にかかる可能性は十分にあります。
淋病を患っている人の20%~30%がクラミジアにも感染しているという報告もありますので、クラミジアの検査も同時に受けることをおすすめします。
淋病などの性病にかかっていると患部の粘膜は炎症を起こし、傷やただれた状態になります。
このような状況ではHIV(エイズウイルス)にも感染しやすくなるため、細心の注意が必要です。