低血圧とは、収縮期血圧(最大血圧)100(mmHg)以下、拡張期血圧(最低血圧)60(mmHg)以下の事を言います。
高血圧と違い、症状がなければ治療をしなくても良いというのが一般的な考えです。
そのため低血圧はあまり臨床的には注目はされていません。
低血圧には、急性低血圧と慢性低血圧があります。
急性低血圧には、アレルギー(アナフィラキシーショックなどで急激に血圧が低下します)、ショック症候群(外傷による血管外への出血、心筋梗塞などの心機能低下など)、アルコール(空腹でアルコールを飲んで急速に吸収されて血管拡張による血圧低下)によるものなどがあります。
急性低血圧の方は、それぞれの原因に対しての適切な治療が必要となります。
慢性低血圧には、体質性低血圧と症状を伴う、起立性低血圧、本態性低気圧、症候性低気圧などがあります。
起立性調節障害は厳密には起立性低血圧とは違いますが、よく似ています。
常に低血圧ですが、症状が全くないため問題ありません。
明らかな原因がなく慢性的に低血圧な場合です。症状がない場合は、体質性低血圧となっていると考えて良いでしょう。
貧血、糖尿病や悪性腫瘍、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの神経難病、その他様々な疾患が原因となっています。
臥位では収縮期血圧が100mmHg以上あるが、立位になると80mmHg以下にも下降する状態です。収縮期血圧が21mmHg以上下がる場合となります。起立性低血圧が起る理由には、自律神経が関係しています。起立性低血圧は、寝ていてから起きるとき、特に早朝時に起きやすいです。これは、寝ているときは副交感神経が優位なためです。起き始めには、まだ活動モードの交感神経にうまくスイッチが入っていないと考えるとわかりやすいでしょう。
高齢の方では、動脈硬化が強い事が原因となりやすく、直後型の低血圧となることが多いです。
思春期や成長期の方では、成長発達段階(自律神経もまだ発達途中)のため起きやすくなります。
思春期や成長期では、起立性調節障害と診断されることが多く、治療としては同じような薬を使用します。
正常な血圧を保つには、常に日常生活の自己管理が大切です。
症状がつらいと、不安になりがちですが、上手く気分転換を心がけて、あせらず改善していきたいものです。
●ゆっくり立ち上がる
急に起き上がるとめまいや立ちくらみをすることがあります(起立性低血圧)。めまいがした時は、倒れて思わぬケガをすることもあるので、すぐに座るなど低い姿勢をとるように気をつけましょう。
●夏場の注意
暑い時は、血管が広がり、汗をかいて脱水になりやすいため、めまいや立ちくらみがします。十分に水分を摂るようにしましょう。
●アルコール
お酒を飲むと血圧があがると思いがちですが、飲酒時は血管が拡張しているので、血圧自体は低下しています。低血圧の人は、さらに血圧が下がってしまいますので、注意しましょう。
●家庭でも血圧を測定しましょう
医療施設で血圧を測ると、ふだん低血圧であっても緊張して血圧が上がり(白衣現象)、正しく診断されないことがありますので、家庭内でも血圧測定をすることが大事になります。
●早寝早起き
夜更かしは、低血圧の症状を悪化させます。睡眠を十分に取り、朝食を必ず食べるようにしましょう。
●食事と栄養
良質の蛋白質、野菜、海藻、豆製品を摂るようにしましょう。偏食をなくし、栄養バランスにも気をつけることが大切です。
●適度な運動
血液の循環をよくするために適度な運動をしましょう。特に散歩や水中ウオーキングなどは下半身が鍛えられ、血流もよくなります。運動の際には十分に水分を摂るようにしましょう。また、運動を急にやめると起立性低血圧になることもあるので、徐々に力を抜いて終わるようにしましょう。
●入浴
低血圧の人は、ちょっと熱めの湯に、肩までつかって入りましょう。寝起きのシャワーは、血流をよくします。
上記のような生活指導で改善が見られないときには、薬物療法を併用します。
軽い昇圧薬・血管収縮薬(メトリジン:ミドドリン、リズミック:アメジニウム)などを内服することにより症状が改善されることも少なくありません。
近くの内科または循環器科の先生にご相談ください。