尿道口付近には、細菌などの雑菌が侵入しても自浄作用がありますので、炎症をおこすことはありません。
しかし、細菌の数が多かったり、体の抵抗力が落ちていると菌は奥まで侵入し、炎症をひきおこします。
男性では比較的強い症状(痛みや膿(うみ)が排出されるなど)が出やすいことに比べ、女性ではあまりはっきりとした症状が現れないケースが多くみられます。
軽度な症状としては、おりものの増加や軽い排尿時痛が生じます。
重度になると、排尿時の強い痛みや性交渉時の痛みが起こることもあります。
細菌感染といっても発熱がみられることは通常ありません。
また、クラミジアが原因である場合、自覚する症状は乏しくても長期間治療しないことで骨盤内に感染が広がり、子宮や卵管の周囲に影響を及ぼして不妊症につながってしまうリスクがあります。
過労やストレスなどによる体力の低下で、菌が侵入しやすくなり、炎症をおこします。
尿道炎の原因として多いのが、非淋菌性非クラミジア性の細菌(マイコプラズマ、大腸菌、トリコモナス)や、クラミジア、淋菌などによる炎症です。
尿道の入り口から尿道内に感染します。
主に、性交渉時に尿道へ細菌が侵入することがきっかけとなります。
特にクラミジアは性感染症として多くみられる原因菌であり、きちんと治療しない限り、パートナー同士で感染しあってしまい、なかなか治らないピンポン感染が起きてしまいます。
また、不衛生な手で尿道付近に触ることや、腟内への不衛生な手指の挿入、オーラルセックスなども原因となります。
これら以外に、疲労や睡眠不足、ほかの疾患などが原因で免疫力が低下し、尿道口から原因菌が侵入しやすい状況も発症リスクとなります。
なお、尿道炎=性病というわけではなく、性交渉以外でも感染することもあります。
二時間排尿をしていない状態で、尿検査をします。
尿もしくは尿道分泌物(膿など)を顕微鏡で観察して、細菌や白血球(免疫細胞の一種で感染症の際に増加する)の存在を確認します。
また、尿中クラミジアや淋菌を調べ、感染していないかを診断します。
クリニックでは、医療器具などを尿道に挿入するなど、痛みを伴う検査はしていません。
ただし、この顕微鏡検査では菌の種類までは特定することができないため、重症の場合や、なかなか治らない際には、原因菌を特定するために尿培養検査を行います。
基本的には抗生物質による治療になります。
通常は内服薬で治療可能です。
ただし、クラミジアが原因と診断された場合には、一般細菌に有効な抗生物質とは異なる種類の抗生物質が必要であり、薬の変更や追加が行われることがあります。
治りが遅い場合は、点滴や筋肉注射などの処置をすることもあります。
また、クラミジアではパートナー同士で感染しあってしまうと治療が困難となるため、パートナーも同時に治療すること、そしてお互いが治療されるまでは性交渉禁止とすることも必要になります。
細菌性尿道炎とは、クラミジア感染症と淋病以外の細菌によるSTD(性感染症)が原因で起こる尿道炎で、原因菌には、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ブドウ球菌など様々なものが考えられます。
クラミジアと同じように、症状は比較的軽く、自覚症状がない場合も少なくありません。
しかし、治療をせずに放っておくと、まれに前立腺炎や精巣上体炎(副睾丸炎)、血精液症になってしまうこともあります。