女性に多い病気です。男性ではまれです。年齢を問わず罹りますが、若い方に多く見られます。
女性の外陰部にいる細菌が尿道から入って膀胱粘膜に付着、繁殖して起こります。
通常は菌が入っても膀胱の感染防御機構が働いて膀胱炎にはなりませんが、次の様な要因が重なると膀胱炎になります。
ストレス、疲れ、体調不良(風邪を引いた後など)、冷え症、尿を我慢しすぎた、1日の尿量が少ない、性行為など
尿検査と尿の細菌培養検査で診断します。
トイレで紙コップに尿を採ってきていただきます。
当院では一般的には尿道から管を入れて尿を採ることはしていません。
尿検査
検尿検査で白血球(炎症細胞)が増えていれば膀胱炎と診断します。結果は直ぐに出ます。
尿細菌培養検査
難治性の場合は、細菌の種類と抗生物質の効き具合を確認します。結果は1週間程度かかります。
細菌の種類としては、大腸の中にいる大腸菌、腸球菌や、皮膚・粘膜にいるブドウ状球菌、連鎖球菌などがよく見られます。クラミジア(性感染)のこともあり、クラミジア膀胱炎が疑わしい時は尿中クラミジアのDNA検査をします。
まれに細菌が証明されないこともあります。
超音波検査(エコー検査)
必要に応じて、超音波検査(エコー検査)で腎臓、膀胱に異常がないか確認します。
膀胱炎を繰り返す時、血尿が強い時は他に病気が隠れていないかどうか検査が必要です。
抗生物質内服5~7日間。注射は必要ありません。
通常1~2日間で症状はよくなり、5~7日間の治療で治癒します。
症状がよくなっても、もう一度尿検査を行って治癒を確認することが必要です。菌の種類によっては抗生剤が効き辛いこともあり、薬の種類を変えることもあります。
初回と2回目の来院で済むことがほとんどです。
急性膀胱炎は再発しやすく、治療開始時期が遅れると腎盂腎炎になる可能性があるので、普段から気をつけて予防しましょう。日頃から膀胱に尿を溜め過ぎていると、菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。1日の尿量が1,000~1,500mLになるように水分摂取を行い、尿と一緒に細菌を体外へ排出しましょう。便秘・下痢により病原性の大腸菌が増殖してしまい、感染を引き起こすことがあるので、便通にも気をつけましょう。排尿・排便後は、細菌が尿道口や膣に入り込まないように、前から後ろに拭き、温水洗浄便座の使用を控えましょう。
また、性行為後や生理中は陰部を清潔に保つことを意識するのも大切です。生理中に使用しているナプキンやおりものシートはこまめに交換するようにして、性行為時は尿道に細菌が入りこみやすいため、性行為後に排尿をする習慣をつけましょう。
下半身を冷やさないようにしたり、疲労やストレスを溜めないことも対策になります。
慢性膀胱炎とも呼ばれる複雑性膀胱炎は、ほとんど症状がないため自覚していない方が多い膀胱炎です。また、複雑性膀胱炎は基礎疾患があって発症するケースが多く、男性もよく発症する膀胱炎です。注意すべき基礎疾患には「前立腺肥大症」や「尿路結石」などが挙げられ、糖尿病やステロイド・抗がん剤投与中など免疫が低下している時に発症することもあります。ほとんど症状はありませんが、急に症状が悪化する可能性もあるので、注意が必要です。
ウィルス、放射線治療、抗がん剤治療など、原因が多岐に渡る膀胱炎で、主な症状は血尿です。血尿以外の症状は原因によって異なりますが、頻尿や排尿の際に下腹部が痛んだり残尿感があったりと、他の膀胱炎と同じ症状も発症します。
間質性膀胱炎は、膀胱の内側の壁に柔軟性がないため膀胱に尿をためることができなくなってしまう病気です。主に女性が発症する病気で、詳しい原因はまだ判明していません。急性膀胱炎と症状が似ていますが、頻尿だけではなく尿意切迫感の症状もあり、尿が溜まると膀胱の痛みが発生して、排尿すると痛みが軽くなるという特徴があります。大豆や柑橘類の酸性が強い物、刺激が強い香辛料、カフェインなどの食事でも悪化することがあるため、食事指導を受けることがあります。