なんらかの原因によって排便回数や便の量が減った状態、または排便するのに努力や苦痛をともなう状態のことです。
ちなみに便秘により腹痛や腹部の不快感、不安、または排便する際の痛みや出血があり治療が必要な場合を「便秘症」とよびます。
ヒルシュスプルング病X線像
小児の便秘には、少ないながら何らかの原因があっておきることがあります。
その原因になる病気には、体のつくりの異常(鎖肛など)、ホルモンの異常(甲状腺機能低下症など)、脊髄神経の異常、腸の神経の異常(ヒルシュスプルング病など)、おなかの筋肉(腹筋)の異常(腹壁破裂、ダウン症候群など)のほか、常用の薬(抗痙攣剤、麻薬など)、精神発達の遅延、精神的なもの、毒物によるものなどがあります。
しかし、便秘の大部分は、結腸が長い、腸の動きが悪い、腸の水分の吸収が少ないなど、原因としてあげることはできても特定はできない、いわゆる特発性、機能性のものが多いです。
国際的に使用されている小児の慢性便秘症の診断基準を示します。
上記の診断基準により便秘と診断されたのち、便塞栓があるかを確認します。
簡単に言えば糞詰まりがあるかどうかです。
糞詰まりがあれば浣腸などの手段によって糞詰まりを除去します。
その後、維持療法として生活、排便、食事指導とともに各種の薬物治療を行います。
水分不足に注意し、朝食後にトイレに行く時間を確保してください。規則正しくバランスのとれた、食物繊維の多い食事をとりましょう。また、日常的に適度な運動をすることも良いとされています。排便をしたくなったら我慢せずにトイレに行くようにしてください。
幼児期のトイレットトレーニングは時に便秘を悪化させることがあるので、叱らずに我慢強く見守ってあげてください。トイレに行くことを嫌がる子は服を着たまま便座やおまるに座らせてもよいのです。
トイレでできた時や、排便がなくても5~10分座っていることができたらご褒美をあげてもよいでしょう。
規則正しく3食、バランスのとれた食事をとりましょう。食物繊維の多いものが勧められています。ヨーグルトなどのプロバイオティクスも効果があることがあります。試されてよいと思います。また、よく水分を多めにとるように指示されることがありますが、脱水傾向がなければ通常は必要ありません。
下剤には①浸透圧性下剤、②刺激性下剤、③消化管運動賦活薬、④漢方などがあります。
① 浸透圧性下剤
腸管内に水分を移行させ腸管内容を軟化増大させ、その刺激により便通促進効果が現れます。代表的な薬として、マルツエキス、ラクツロース(モニラック)、酸化マグネシウム、モビコールなどがあります。
② 刺激性下剤
主に大腸を刺激することにより排便を促します。効きすぎるとお腹が痛くなることもあります。代表的な薬としてビコスルファートナトリウム(ラキソベロン)があります。
③ 消化管運動賦活薬
代表的なものにモサプリドクエン酸塩(ガスモチン)がありますが使用されるのは学童期以降になります。
④ 漢方
代表的なものとしては大建中湯、小建中湯、大黄甘草湯、調胃氶気湯。桂枝茯苓丸などがあります。
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下記のEAファーマ株式会社ページより抜粋
http://www.eapharma.co.jp/medicalexpert/product/movicol/productinfo/moa.html