まぶたや唇、頬にピリピリとした痒みを感じ突然、大きく腫れ上がったが、それも数時間したら消えてしまった。こんな経験はありませんか?これは、クインケ浮腫という病気で、別名「血管神経性浮腫」とも呼ばれます。ドイツのクインケが最初に報告した病気であったことから、この名前がつきました。クインケ浮腫は蕁麻疹の一種で局所的な血管性の浮腫。症状は、体内(内臓や器官)も含めて身体のどこにでも発症する可能性があります。特に瞼や口唇など顔に現れるのが多く舌や手足、陰部が腫れることもあります。腫れは数時間~数日で消えますが、再発頻度は月に何度もだったり、数年に1度という例もあります。
じんましんに近いものですが、かゆみもなく赤くなることもありません。固さはあまり硬くはないですが、少し弾力があります。
クインケ浮腫の原因には、遺伝性と後天性の2つに大きく分けられます。
遺伝性が原因の場合は、C1-インヒビター(C1-INH)と呼ばれるたんぱく質が先天的に欠損している場合に発生し、この場合は成人期前に発症することが多く見られます。
後天性では薬物、毒液、食物、または抽出したアレルゲンの暴露により引き起こされるとされます。薬物としては、例えば、解熱消炎鎮痛剤、ペニシリン、抗生物質、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬などの高血圧治療薬、総合感冒薬、副腎皮質ホルモン剤、血液製剤、経口避妊薬などがクインケ浮腫を惹き起こす可能性があるとされています。
また、疲れているときに発症しやすいことからストレスや疲れが関係していると言われています。そのため、ストレスやアレルギー対策が再発防止の鍵となります。再発が度々繰り返されるようなら原因となっているストレスやアレルギーを取り除く必要があります。
何もせずに治ることが多いですが、続いたり、再発を繰り返す場合はアレルギー反応を抑える抗アレルギー剤(抗ヒスタミン剤)の飲み薬を使用します。
まぶたや唇がひどく腫れてしまうと見た目を気にして外出しづらくなるかもしれません。そこで、クインケ浮腫を予防するためには、ひどく腫れる前、ちょっとしたピリピリ感などの予兆が現れた時点で、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)や、血管性浮腫の予防薬として使われるトラネキサム酸をなるべく早く服用することです。
また、クインケ浮腫は、ストレスや疲れがたまった時に起こりやすいとも言われていますので、ストレスを貯めない、しっかり睡眠をとるなどの生活習慣の見直しを行うことも予防策の一つになります。
またクインケ浮腫の症状は、数時間から数日で消えますが、鼻から喉にかけて腫れが起こると呼吸困難に陥る危険性が否定できません。この時には息を吸うときにヒューヒュー、ゼーゼーと苦しくなります。こうした場合は、すぐに医療機関を受診してください。