蕁麻疹は、皮膚が何らかの刺激を受けて赤くなって腫れ、痒みが出る病気です。
蕁麻疹の種類としては、以下の2つが挙げられます。
食物や薬剤、動植物、カビなどの真菌、汗、日光などが誘因となって起こるアレルギー性蕁麻疹があります。
温熱や寒冷、ベルトやブラジャーなどの圧迫による機械的刺激、精神的緊張によって起こる非アレルギー性蕁麻疹があります。
食べ物 | サバ、マグロ、エビ、カニなどの魚介類、肉類、卵、乳製品、 小麦などの穀類、野菜、防腐剤や人工色素などの食品添加物など |
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薬 | 抗生物質、解熱鎮痛薬などの他の病気の治療薬 |
植物・昆虫 | イラクサ、ゴム、ハチなど |
感染 | 細菌、ウィルス、寄生虫など |
ストレス | 身体的ストレス、精神的ストレス |
物理的な刺激 | 皮膚のこすれ、圧迫、寒冷、日光、温熱など |
発汗 | 運動や入浴、緊張などによるもの |
内臓・全身性 の病気 |
甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、慢性胃炎、 ピロリ菌感染症、膠原病、膠原病、血清病、血管炎など |
食べものによる蕁麻疹は、食物が直接アレルギー反応を引き起こす場合と、食物にヒスタミンなど蕁麻疹を誘発する抗原が入っていてアレルギー反応を起こす場合とがあります。
直接アレルギーを起こす可能性のある食物として、サバなど青魚/卵や牛乳/そば/エビやカニ/ジャガイモ/トマトといった野菜や、キウイやマンゴーなどの果物があります。
健康な状態では蕁麻疹にならないのに、体調が悪かったり、胃腸の具合が悪かったりすると、同じものを食べても蕁麻疹を起こすことがあります。
飲み薬や貼り薬が原因で起きるのが薬剤性光線過敏症です。薬を使い始めた後に日光に当たり、顔や首周りなどに日焼けに似た症状が強く出たら要注意です。
蕁麻疹を引き起こす薬剤は、アスピリン/ピリン系の解熱剤/各種抗生物質/降圧剤/湿布など、個人によって様々なものがあります。また、予防接種などのワクチンや輸血によっても発症することがあります。
「抗炎症成分のケトプロフェンを含む湿布薬の場合、貼った所が赤く腫れ、水ぶくれなど強い症状が出ることもあります」。家族がもらったものをうっかり使って症状が出る方もいますので、他の人の薬は決して使わないようにして下さい。
【ケトプロフェン湿布薬による光アレルギー性接触皮膚炎】
最近、よく経験するのはチアジド系の降圧利尿薬が配合された降圧剤による光線過敏型薬疹です。飲み始めてから顔、首、胸のデコルテ部分、手の甲などが何となく日焼けしやすくなったと感じたら、主治医にその旨伝えて違う系統の薬に変えてもらって下さい。
【降圧剤による光線過敏型薬疹】
医療機関で原因になっている薬剤がないかを診断してもらい、疑わしい薬剤の服用や湿布の使用をやめましょう。また、薬剤は体内にしばらく残るので、1~3カ月は直射日光を避けることが必要です。
種々の物理的刺激によって起こる物理的蕁麻疹は、その種類によって発症が異なります。皮膚をひっかいたり、ベルトや下着のゴムなどで長時間圧迫したりした時などの機械的刺激によるもの、冷水や冷たい空気などの寒冷刺激によるもの、急に温まったときなどに生じる温熱によるもの、日光に当たった部分に発生する日光によるものなどがあります。
また、薄着の季節は、ネックレスなどのアクセサリーを肌の上に直接着ける機会も多いです。汗で金属がイオン化しアレルゲンになりやすい夏は、金属アレルギーも増えます。ニッケルなどの金属を使ったアクセサリーを避け、ベルトの金具が直接肌に触れないようにしたいですね。
繰り返し蕁麻疹が出る場合は、内臓疾患が原因となっていることがありますので、内臓の検査を受けられることをお勧めします。蕁麻疹患者の一部の症例では、甲状腺疾患、ウイルス性の肝炎、慢性胃炎、ピロリ菌感染症などが背景にあって、蕁麻疹が起こりやすくなっている事があります。
また、膠原病、血清病、血管炎などのように、皮膚を含む全身の病気の一部として蕁麻疹が現れている事もあります。
特に、50歳以上の慢性蕁麻疹では悪性腫瘍の検索が必要です。
寒冷蕁麻疹は秋から冬にかけて発症することが多い疾患で、お風呂上がりの脱衣場が寒かった時、温かい屋内から寒い外に出た時など、皮膚温度の急激な低下がきっかけとなります。鳥肌に似ていますが、かゆみを感じる場合は「寒冷蕁麻疹」の可能性があります。
温熱蕁麻疹は梅雨時から夏にかけて発症することが多い疾患で、お風呂や運動などで体が温まった時、冷房の効いた屋内から暑い外に出た時など、皮膚温度の上昇がきっかけとなります。蚊に刺されたような、プックリと膨んだ形状の発疹が広がります。
コリン性蕁麻疹は10代から30代に多い疾患で、運動、入浴、熱い物や刺激物を食べた時、お酒を飲んだとき、興奮した時に発汗し、その刺激によって生じるコリン作動性蕁麻疹もあります。
蕁麻疹の中でも、日常生活に支障をきたすことの多いタイプです。
日光に当たるとすぐに当たった部位が痒く赤くなり、ひどい場合はみみずばれになります。ある日突然このような状態になることがあります。原因となる光線は可視光線が多いのですが、紫外線に敏感になることもあります。光線が当たった皮膚で生じるアレルゲンに対して、即時型アレルギー反応を起こしています。日陰や屋内に入れば30分くらいで自然に消えてしまいます。
ストレスが原因で発症するじんましんです。ストレスを感じなければ発症しないので、日常生活でのストレスを貯めないことが最高の予防法です。
蕁麻疹は体のどの部位にもできますが、顔面、四肢体幹などにできやすく、眼瞼や唇が腫れたりすることもあります。
発疹の大きさは米粒大から掌大まであり、形も丸いものや地図状のものなど様々です。
重症の場合は皮膚だけでなく、気管支や腸などの粘膜にも浮腫ができ、息苦しさや呼吸困難、下痢、腹痛を伴います。気道閉塞に至ることもありますので、症状が出た時には至急病院へ行く必要があります。
蕁麻疹は膨疹といわれる蚊に刺された様に皮膚が盛り上がるのが特徴です。みみず腫れといった表現もします。24時間以内に症状は自然消失しますが、繰り返して症状が出現します。
アレルゲンを特定するためには、血液検査が必要です。
慢性蕁麻疹の疑いがあるときは、内臓の病気などを調べます。
第1選択 first line 第2世代抗ヒスタミン薬
第2選択 second line 第2世代抗ヒスタミン薬の増量(2倍量まで服用可)
第3選択 third line 第2世代抗ヒスタミン薬+睡眠前の第1世代抗ヒスタミン薬またはステロイドを短期間併用
以下の治療は総合病院へご紹介致します。
第4選択 4th line Omalizmab(抗IgE抗体の追加)
第5選択 5th line サイクロスポリンの追加
原因が判明するまでは、薬物治療が中心となります。抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服や注射が主になります。
蕁麻疹の診断は比較的容易につきますが、その原因特定は実際には難しいものです。
まず問診で症状の状況と経過を細かくお聞きします。症状は消えたり出たりしますので、携帯写真などで結構ですので、症状を記録しておいていただければ診断が早くつきます。
原因となる物質および刺激が特定できない場合でも、治療は抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬を使用するのが一般的であり、短期間でのステロイド内服薬も蕁麻疹では比較的使用されます。
外用剤は、ステロイド軟膏が使用されます。血管浮腫があればトラキネサム酸(トランサミン)を使用することもあります。
抗ヒスタミン薬の副作用としては眠気がありますが、多くの場合、薬を継続して数日でなくなります。
原因のよく分からない蕁麻疹の場合は、特に日常生活の環境改善が必要です。薬剤治療はあくまで対症療法ですが、環境改善は根本治療に繋がります。
アレルギー性蕁麻疹の場合は、原因抗原の胃腸からの吸収をなるべく減らすために、暴飲暴食を避け、便秘や下痢などの胃腸障害を起こさないようにします。
発汗による蕁麻疹がありますので、汗をかく運動、長湯や熱い湯は避け、体調を崩しているときはシャワー程度にします。
コリン作動性蕁麻疹の場合は、通常アレルギーに使われるH1ブロッカーだけでなく、胃薬に使われるH2ブロッカーを併用すると、症状が治まる場合が多く見られます。
非アレルギー性蕁麻疹の場合は、皮膚が長時間刺激を受け続けると蕁麻疹が起きやすくなるので、なるべく下着やストッキングなどで皮膚を圧迫しないようにし、下着を替えたりゴムを弱くしたりすることも必要です。
また、皮膚の擦りすぎは機械的刺激による蕁麻疹を誘発します。
蕁麻疹は強い痒みを伴いますが、氷で冷やすことである程度抑えられます。しかし冷やし過ぎは禁物です。
体調が悪いと、どのタイプの蕁麻疹も起こりやすくなりますので、規則正しい生活を守り、十分な睡眠をとります。
先述したように蕁麻疹は短時間でひくことが多く、1日たっても症状がひかない場合は、他の病気の可能性もあるのでクリニックでよくご相談ください。
蕁麻疹は、抗ヒスタミン剤の内服で治療しますが、完治するためにはホームケアが欠かせません。
具体的には次のことに注意しましょう。