一生の内一度は尿路結石になる人数は男性15.1%、女性6.8%であり、決して稀な疾患ではありません。
特に、40~50代の男性に多い病気です。尿路結石症は、尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかに結石がひっかかってしまった状態のことです。
結石が引っかかる場所によって、腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石のような呼ばれ方をします。
石の大きさは数mm~数cmに及ぶものまで様々です。
小さい石ほど尿管に落ちて来やすいので、症状がでるときは小さい石が原因のことが多くみられます。
痛みを感じないことが多いです。健康診断、人間ドックや腹部エコー検査時に見つかることがあります。
腎臓から結石が落ちてきて、尿管に詰まった状態です。激痛が走るのが特徴です。
膀胱炎や頻尿の原因となる場合もあります。
女性と男性は尿道の長さが違っているので女性の方が排石しやすいです。男性は排石時に猛烈な痛みを伴うことがあります。
結石の中で一番症状が現れやすいのは、尿管に結石が詰まった状態の尿管結石で、突発する鋭い痛みを特徴とする背部痛や側腹部痛と血尿で発見されます。
この時の痛みは非常に激烈であることが多いですが、熱は通常出ません。
痛みは間隔を置いて感じます。
痛みは左右どちらかの背中の強い痛みや側腹部の痛み、下腹部の違和感、同側の睾丸に響く痛み、残尿感として感じることもあります(下図ピンク色の部位)。
もちろんそれほど痛みが強くない鈍痛程度で発見されることや、無症候性の血尿、無症候性の膿尿で発見されることもあります。
また、尿路結石が尿の自然排出をせき止めてしまうと、尿道から侵入した外部の細菌が尿路に残ることなどが原因で、腎盂腎炎を引き起こすケースもあります。
また、尿管内の尿が停滞してしまうと「水腎症」になってしまい、腎機能が低下することもあります。両側の腎機能低下が進行すると、透析が必要になる場合もあります。
結石の元となるのは、カルシウム、マグネシウム、シュウ酸、リン酸、尿酸、シスチン酸などの物質です。
これらが尿の中で飽和状態となり、腎臓で結晶化して、その結晶が凝集・成長して結石になると考えられています。
尿路結石は、結石を構成している物質によっても分類できます。
物質によって結石の色や形が違ってくるため、排出された結石を見れば発症原因の判断材料になります。
結石でもっとも多く(80%)見られるのがシュウ酸カルシウム結石です。この結石は表面がギザギザになり、小さくても尿管に詰まりやすいというやっかいな性質があります。
シュウ酸カルシウム結石と混合していることが多い結石です。尿がアルカリ性に傾いたときにできやすい特徴があります。
尿が酸性になったときにできやすく、また痛風や高尿酸尿症の人にできやすい結石です。
アミノ酸のシスチンが尿に排出されるシスチン尿症の人にできやすい結石で、遺伝性があります。
この結石は女性に多く、一度できると細菌感染で大きくなりどんどん大きくなり、腎盂・腎杯の形のままサンゴ状になりやすい特徴があります。
検尿によりおしっこに血が混じっていて、上記の痛みを訴える場合は結石を念頭に入れて診断を進めます。
超音波検査により、腎臓・膀胱に石がある場合は2mm程度の物でも発見できます。
尿管に引っかかっている石は超音波検査では診断が難しいですが、腎臓が腫れた状態(水腎症)をエコーで確認できれば、尿管結石症を強く疑うことができます。
治療は対症療法が中心です。
治療は基本的には自然排石を期待し、鎮痛剤の処方と飲水・運動の指導を行なっています。
自然排石率は、約60%と言われています。
鎮痛剤で痛みを和らげる対処をして自然排出を促すのが基本的な流れとなります。
尿量が多ければ石も早く下流に流れるので、尿量を十分に確保することです。
石が大きく自然に出る可能性が無ければ破砕(※ESWL)するか、石を取り出す(※PNL、TUL)の必要がありますので、連携病院の泌尿器科へご紹介します。
体外から衝撃波を当てて尿路結石を砕いて、細かくなった結石を尿とともに体外に自然排出するのを促す手術です。
体外から行える他、麻酔の利用も最低限に抑えることができるため、病院によっては日帰りで受けることも可能です。
10mm未満の比較的サイズの小さな結石に対して行われることが多いです。
内視鏡で尿路を観察し、結石をモニターで確認して、レーザーを使って体内で結石を砕いて取り除く手術です。
砕いた結石は「バスケットカテーテル」と呼ばれる特殊なワイヤーで直接回収し、取り除いていきます。
自然排石に頼ることなく、キレイに結石を取り除くことができるのがメリットです。
ただし、使えるレーザーの強さに対して結石が大きすぎたり硬すぎたりする場合は、複数回の手術を要することがあります。
一般的に、20mm以下の結石に対して行われることが多い治療方法です。
2cm以上の結石、特に腎臓内に発生した結石に用いられる方法です。
手術では、まず結石のある腰や背中サイドから腎瘻(じんろう:筒のような経路)を腎臓の中まで通します。
そして、腎瘻から内視鏡とレーザーがついた特殊な機器を体内に入れて、結石を砕き、取り除きます。
尿道よりも太い筒を入れることができるため、結石のサイズが大きくても対応できるのがメリットです。
ただし、全身麻酔で行われることが多く、直接腎臓を穿刺するため、出血などのリスクに気を付ける必要があります。
TUL(経尿道的尿管結石破砕術)とPNL(経皮的腎砕石術)を同時に行い、より確実に結石を取り除く方法です。
それぞれの施術のメリットをかけ合わせて、より確実に、安全に結石を取り除くことができるのですが、対応できる医師が在籍する病院が限られています。
一度結石ができた方は、約40~50%程度の方が何年かしてまた再発しますので予防が必要です。
尿路結石の再発と予防には
1)内服薬のcheck
2)飲水指導
3)適度な運動
4)食事指導
5)薬物療法
があります。ではそれぞれを見ていきましょう?
内服薬のうち、副作用に結石を作ってしまうものがあります。
代表的なものをあげますと
などです。まず投薬を受けている人は薬をcheckすることが大切です。
慢性な脱水状態や水分摂取不足では尿路結石は発生しやすく、水分摂取を積極的に行うことで再発予防できると言われています。
水分は1日2L以上を心がける。
水分は、何でもいいのではなく後で書きますが尿酸が多く含まれているビールや糖分の多い清涼飲料水などはさけ、水道水や麦茶・ほうじ茶を選ぶのが良いとされています。
1cm以下の小さな石は自然に出る可能性があります。
水運動療法といって、水をいっぱい飲んで上下に跳ねる運動を行います。
うまくいくと、排尿時に尿と一緒に石が出ます。
石が出る時は激しい痛みを伴うことが多いので、痛み止めや石を出やすくする薬を服用しながら行います。
基本はバランスの良い食事、カルシウムは日本人はむしろ不足しているので制限の必要がないことが多いです。