「低身長症」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? サッカー界ではアルゼンチンで天才少年と騒がれていた9歳のメッシが「成長ホルモン分泌不全性低身長症」と診断され、その後バルセロナの援助を得て治療を受けたことでも知られています。
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、本来は体内で生成、分泌される成長ホルモンの分泌量が少なく、成長率が低く低身長になる病気です。治療方法としては、不足した成長ホルモンを注射で補います。「低身長症」は成長ホルモン分泌不全性低身長症のようなホルモン異常だけでなく、そのほかの重大な病気や心的ストレスなどが原因の場合もあり、誰にでも起きる可能性があるものです。
低身長(成長障害)の定義は、同性同年齢の子どもの平均身長と比べて、身長が著しく低い、あるいは成長の速度が著しく遅い場合をいいます。少し身長が低いというだけでは低身長とはいいません。成長が障害されているかどうかは、子どもの「身長」と「1年間の身長の増加(成長速度)」を目安に判断することができます。
次の2つの項目の両方、あるいはどちらかに当てはまる場合には、低身長(成長障害)と考えられますので、早めに当科に相談して下さい。
SD(標準偏差)とは統計学的に使われる言葉で、この場合は、子どもの身長のバラツキの程度を表しています。通常、身長が「+2SD」と「-2SD」の間に、全体の約95%の子どもの身長が入ることから、「-2SD」以下の身長の場合を低身長としています。
年齢 | 男子(cm) | 女子(cm) |
5歳0ヵ月 | 98.1 | 97.7 |
5歳6ヵ月 | 100.9 | 100.6 |
6歳0ヵ月 | 103.8 | 103.4 |
6歳6ヵ月 | 106.8 | 106.1 |
7歳0ヵ月 | 109.5 | 108.8 |
7歳6ヵ月 | 112.2 | 111.4 |
8歳0ヵ月 | 114.7 | 113.9 |
8歳6ヵ月 | 117.2 | 116.4 |
9歳0ヵ月 | 119.7 | 118.8 |
9歳6ヵ月 | 122.1 | 121.2 |
10歳0ヵ月 | 124.5 | 123.9 |
10歳6ヵ月 | 126.8 | 126.7 |
11歳0ヵ月 | 128.9 | 130.2 |
11歳6ヵ月 | 131.0 | 133.8 |
12歳0ヵ月 | 133.9 | 137.0 |
12歳6ヵ月 | 136.8 | 140.2 |
13歳0ヵ月 | 140.7 | 142.3 |
13歳6ヵ月 | 144.6 | 144.3 |
14歳0ヵ月 | 148.6 | 145.3 |
14歳6ヵ月 | 152.5 | 146.2 |
15歳0ヵ月 | 154.7 | 146.5 |
15歳6ヵ月 | 156.8 | 146.9 |
16歳0ヵ月 | 157.7 | 147.1 |
16歳6ヵ月 | 158.5 | 147.2 |
17歳0ヵ月 | 158.8 | 147.4 |
17歳6ヵ月 | 159.1 | 147.6 |
低身長の原因となる疾患はいろいろありますが、下表のように分類されます。この中で、内分泌の異常の一つである成長ホルモン分泌不全性低身長症、染色体異常によるターナー症候群など■で囲まれている疾患が、現在、成長ホルモン療法が認可されています。
検査としては、血液検査・尿検査・左手のレントゲンによる骨年齢を行います。また、女の子の場合には、血液で染色体検査をすることもあります。診察とこれらの1回の検査で、甲状腺機能低下症、くる病、軟骨無形成症、ターナー症候群などの診断がつきます。成長ホルモンは、その血中濃度は日内変動があるために、1回の採血では成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断がつきません。そのかわり、日内変動がなくて、成長ホルモンが主に肝臓に作用してつくるインスリン様成長因子-I(IFG-I)を測定して、成長ホルモンの分泌状態を間接的に調べます。
年間の成長率がおちている、骨年齢が遅れている、成長ホルモン依存性のIGF-Iが低い、などの場合は成長ホルモンの分泌が少ない可能性がありますので、成長ホルモンがでるような薬を投与して、30分ごとに2時間(薬の種類によっては2時間半)採血してその中の成長ホルモンの濃度を測定する成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験ともいう)を行います。成長ホルモン分泌刺激試験は、正常の子どもでも低い成長ホルモンの濃度を示すことがたまにあるので、最低2つの種類の薬で検査を行い、2つ以上の検査で成長ホルモンの最高血中濃度が6ng/ml以下だった場合に、成長ホルモン分泌不全性低身長症という診断がつき、成長ホルモン治療の適応となります。
多くの子ども達が、成長障害のために受診されますが、かなりの数の子ども達は、成長障害とは考えられない、体質的に小柄な、健康な子ども達です。
逆に、治療が可能なのに、受診が遅れたために、十分な効果があげらない場合も、しばしば経験します。
2次性徴が発現すると、骨端線が閉鎖し、骨の成長が止まってしまい、十分な治療効果が望めなくなるので、お子さんの身長が低いのではないかと心配されるようでしたら、遅くとも10歳になる前までには、専門科で受診してください。
身長を伸ばすために、「小さい時から牛乳を毎日たくさん飲んでいた」のに伸びなかったという話をよく聞きます。また、大量の牛乳を飲み「肥満症」になった子供もいます。一般に「牛乳には骨を作るカルシウムが多く含まれている」と思われています。その為に成長期にはたくさん飲まないといけないと思っている方が多くいます。しかし、幼稚園や小学校低学年の子供に、1日800ml(三食+おやつ)以上も牛乳を飲ませると、牛乳だけで満腹になり、他の食事を摂れなくなります(甘い食品や脂っこい食品でカロリーを摂取することになります)。バランスの悪い食事は、肥満などの原因になります。「牛乳神話」は本当なのでしょうか?
下記に、牛乳に含まれている成分表と小児期から思春期に必要なカロリーと推奨される栄養素の一日量を示します。
製 品 (200ml当) |
カロリー (cal) |
タンパク質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
塩分 (g) |
カルシウム (mg) |
鉄分 (g) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
明治おいしい牛乳 | 137 | 6.8 | 7.8 | 9.9 | 0.22 | 227 | - |
森永のおいしい牛乳 | 133 | 6.6 | 7.6 | 9.5 | 0.21 | 227 | - |
雪印メグミルク | 133 | 6.5 | 7.6 | 9.6 | 0.21 | 227 | - |
毎日骨太1日分の カルシウム |
91 | 6.9 | 2.1 | 11 | 0.25 | 680 | - |
明治ミルクラブ | 90 | 5.8 | 2.4 | 11.2 | 0.3 | 350 | 3.8 |
グリコ カルシウムと 鉄分の多いミルク |
98 | 3 | 3.4 | 13.8 | 0.39 | 504 | 5.5 |
男児 | 必要カロリー (cal) |
タンパク質 (g) |
カルシウム (mg) |
マグネシウム (mg) |
鉄分 (mg) |
鉄分 (mg) |
亜鉛 (mg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1~2歳 | 950 | 20 | 450 | 70 | 4.5 | 3 | |
3~5歳 | 1300 | 25 | 600 | 100 | 5.5 | 4 | |
6~7歳 | 1550 | 35 | 600 | 130 | 6.5 | 5 | |
8~9歳 | 1850 | 40 | 650 | 170 | 8 | 6 | |
10~11歳 | 2250 | 50 | 700 | 210 | 10 | 7 | |
12~14歳 | 2600 | 60 | 1000 | 290 | 11.5 | 9 | |
15~17歳 | 2850 | 65 | 800 | 360 | 9.5 | 10 | |
18~29歳 | 2650 | 60 | 800 | 340 | 7 | 10 |
女児 | 必要カロリー (cal) |
タンパク質 (g) |
カルシウム (mg) |
マグネシウム (mg) |
鉄分 (mg) 月経なし |
鉄分 (mg) 月経あり |
亜鉛 (mg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1~2歳 | 900 | 20 | 400 | 70 | 4.5 | 3 | |
3~5歳 | 1250 | 25 | 550 | 100 | 5 | 4 | |
6~7歳 | 1450 | 30 | 550 | 130 | 6.5 | 5 | |
8~9歳 | 1700 | 40 | 750 | 160 | 8.5 | 5 | |
10~11歳 | 2100 | 50 | 750 | 220 | 10 | 14 | 7 |
12~14歳 | 2400 | 55 | 800 | 290 | 10 | 14 | 8 |
15~17歳 | 2300 | 55 | 650 | 310 | 7 | 10.5 | 8 |
18~29歳 | 1950 | 50 | 650 | 270 | 6 | 10.5 | 8 |
幼稚園や小学校低学年で一日に牛乳を800mlも飲ますと、カルシウムは十分に摂取できますが、その為に満腹になり、タンパク質・鉄分などが摂取できなくなります。身長を伸ばす為には、成長ホルモンを分泌させ、骨を作って伸ばさないとなりません。骨を作るのにはカルシウム、タンパク質が、成長ホルモンを分泌させる為には亜鉛が、骨を伸ばす為にはマグネシウムが、体中に酵素を運ぶ為には鉄分が必要です。カルシウムだけ摂取しても身長が伸びない理由です。
食事量を多くせずに必要な栄養素を摂ることが重要になります。現代の家庭環境(社会生活)を考えると、色々な種類の食材を買って、自宅で作るのは不可能でしょう。手軽な機能性補助食として「栄養素を強化したふりかけ」や「機能性牛乳」を使用すると容易に必要な栄養素を摂取することができます。また、必要な栄養素を摂取できても、カロリー過多になっては困るので、調理法として「揚げる」「炒める」は止めて「焼く」「煮る」「蒸す」を多くしましょう。
ネットなどで「アルギニン」で身長が伸びたという記事を見ますが、「アルギニン」はタンパク質を構成するアミノ酸で、現代社会の子供たちがタンパク質不足になっているのに注目して販売し効果を得ているように感じるだけで、普通に食事を摂取している子供たちには不必要です(効果はありません)。また、ネットでよく見かけるサプリメントの「カラダアルファ(α)」10粒当たりの成分はホームページ掲載内容から計算すると「タンパク質約0.66g、鉄分約0.66mg、カルシウム約3.7mg、マグネシウム約1.66mg」で、掲載内容のような効果は全く期待できません。小児病院等では、不足しているカルシウム・鉄分を補う為に「機能性ふりかけ」をよく使用します。安価で少量で必要量が摂取できるので理想的です。同じように家庭でのタンパク質不足に対しても補助食品(「ウイダー」ジュニア プロテインや「サバス」ジュニアプロテイン[ココア味])を用いた方が、献立に悩み神経質にならず、優しい家庭環境を作ると思います。身長を伸ばす為には、「栄養」「運動」「睡眠」「環境(心理面)」が必要です。
ネット上には、身長を伸ばしたい気持ちを利用して、たくさんのサプリメントが販売されています。ホームページ上に、正確な成分表示「何錠あたり、または何gあたり、カルシウム○○mg、タンパク質○○g、鉄分○○mgなど」をしていないと信用してはいけません。特に、「○○の○倍」などの表記は誤解させることを目的とした悪意のある掲載内容です。 成長ホルモンを分泌させる薬としてアミノ酸(アルギニンなど)やたんぱく質などを主成分とする内服薬が宣伝されることがありますが、それによる成長の促進は、科学的に証明されていません。国立健康・栄養研究所のホームページの「健康食品の安全性・有効性情報」でも、アルギニン製剤に関して、「発育・成長に関しての文献は見あたらない」「小児にサプリメントとして使用することは推奨できない」と書かれています。また、成長ホルモンを強力に分泌させる効果のある点鼻薬を用いて行われた臨床試験でも、成長率の改善は全く認められませんでした。このことは、成長ホルモンを分泌させるという薬には身長を伸ばす効果がないことを、明らかに示しています。 (成長科学協会HPより引用)
製 品 (1袋当) |
カロリー (cal) |
タンパク質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
塩分 (g) |
カルシウム (mg) |
鉄分 (g) |
亜鉛 (mg) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ふりかけ鉄之助 +亜鉛 かつお |
14 | 0.9 | 0.6 | 1.1 | 0.2 | 13 | 3 | 1.2 | ||||
ふりかけ鉄之助 +亜鉛 さけ |
14 | 0.4 | 0.5 | 1.6 | 0.3 | 10 | 3 | 1.2 | ||||
ふりかけ鉄之助 +亜鉛 のりごま |
16 | 0.6 | 1.1 | 1 | 0.2 | 21 | 3 | 1.2 | ||||
丸美屋 のりたま | 11 | 0.58 | 0.55 | 0.99 | 0.23 | 17 | ||||||
丸美屋 すきやき | 11 | 0.47 | 0.53 | 1.2 | 0.23 | 6.9 | ||||||
永谷園 アンパンマンふりかけ さけ |
9 | 0.3 | 0.15 | 1.6 | 0.3 | 52 | ||||||
永谷園 アンパンマンふりかけ たまご |
9 | 0.3 | 0.14 | 1.6 | 0.2 | 59 | ||||||
Fe+Znふりかけ たまご |
12.3 | 0.4 | 0.3 | 2.1 | 0.2 | 1.2 | 2.4 | |||||
Fe+Znふりかけ 鮭 |
12.2 | 0.3 | 0.3 | 2 | 0.3 | 1.2 | 2.4 | |||||
Fe+Znふりかけ のりごま |
14 | 0.4 | 0.7 | 1.6 | 0.3 | 1.3 | 2.5 | |||||
三島 お魚ふりかけ | 8.7 | 0.61 | 0.29 | 0.89 | 0.25 | 198 | ||||||
三島 大豆ふりかけ | 11 | 0.74 | 0.55 | 0.85 | 0.14 | 4.5 | ||||||
製 品 (1食当) |
カロリー (cal) |
タンパク質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
塩分 (g) |
カルシウム (mg) |
鉄分 (g) |
|||||
サバス ジュニア プロテイン マスカット風味 (無果汁) |
52 | 6 | 0.1 | 6.8 | 0.13 | 100 | 4.5 | |||||
サバス ジュニア プロテイン ココア味 |
50 | 6 | 0.6 | 5.1 | 0.2 | 420 | 4.6 | |||||
ウイダー ジュニア プロテイン <ヨーグルトドリンク味> |
78 | 8.4 | 0.4~1.4 | 9 | 0.03~0.1 | 500 | 4.6 | |||||
ウイダー ジュニア プロテイン <ココア味> |
74 | 8.4 | 0.8 | 8.2 | 0.25 | 500 | 4.6 | |||||
セノビック ミルクココア味 |
78 | 1.5 | 0.6 | 17 | 0.04~0.4 | 260 | 6 | |||||
セノビック ヨーグルト味 |
78 | 0.18 | 0.1 | 19 | 0.00~0.02 | 260 | 6 | |||||
ウイダーin バープロテイン ベイクドチョコ |
164 | 10 | 8.4 | 12.2 | 0.15 | |||||||
ウイダーin バープロテインバニラ |
188 | 10 | 9.9 | 14.8 | 0.27 |
現在のところ、背を伸ばす確実な方法として知られているのは、成長ホルモン分泌不全性低身長症などに対する成長ホルモン注射の治療、甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモンの内服治療、そして、軟骨無形成症などに対して行われる特殊な治療法である脚延長手術の3つです。
成長ホルモンは内服しても無効なので、注射することが必要です。投与量は体重1kg当たり1週間に0.5単位とすることになっています。以前は週に2~4 回通院して筋肉注射を受けねばならなかったのですが、インスリン注射などと同様、成長ホルモンも在宅で注射することが厚生労働省から認められてからは、自宅で毎日皮下注射することが可能となりました。正常児では睡眠のはじめの頃に大量の成長ホルモンが分泌されるので、これに似せて毎晩の注射により成長ホルモンが睡眠中に増えるようにするのが、もっとも自然です。実際、1週間の投与量が同じならば、週2~4回注射するよりも少量に分けて毎晩注射したほうが背を伸ばす効果があることが知られており、以前にくらべて有効性が増しています。
成長ホルモン注射を開始すると、成長ホルモン分泌不全性低身長症のほとんどの子どもで成長が促進されます。治療前に年間3~4cmだった伸びが、治療開始後の最初の1年間では平均8cmほどの伸びを示します。この成長促進効果は2年目以降に年々弱まる傾向にありますが、根気よく続けることにより、少しづつ正常範囲の身長に近づけることができます。ですから、成長への効果についてはあせらずに、ゆっくりと待つ心構えが大切です。
また、最終身長は平均身長にまで達することもありますが、そこにまで達しない場合も多々あります。その点は、ひとりひとり状況が違うので、主治医との長いつき合いの中で自分に合った目標がはっきりしてくるはずです。
成長ホルモン療法は基本的に身体の中に不足しているホルモンを補う治療です。どんな薬も100%安全な薬はなく、体質によっては、まれに頭痛、痙攣、耐糖能異常等の副作用が生じるケースもあります。
しかし、背を安全に確実に伸ばすには、成長ホルモン治療以外には、現在の医学では方法がありません。ホルモンと聞いただけで、副腎皮質ホルモンや性ホルモンを連想して拒否反応を示す方も少なくありません。
成長ホルモンはホルモンという名こそ付いていますが、むしろ骨、筋肉、内臓などの組織成長促進因子というべき物質できわめて安全です。糖尿病や特殊な肥満がない限り殆ど副作用を心配する必要もありません。もちろん白血病の心配もありません。注射への拒否反応を示す方々もおられますが、痛みの軽減には相当の工夫がなされており幼稚園の年中さんでも毎日続けられる程です。小学校高学年ぐらいになると自分で毎日 正確に注射しているお子さんも珍しくありません。
親が中学、高校になってから急によく伸びたから大丈夫だろうと先延ばしせず、少なくとも小学校中学年くらいまでには是非相談に来ていただきたいものです。骨の成長が終了した後で(骨が固まった後で)、相談に来られ、もう1mmも伸びない現実をまのあたりにして、外来で泣き出すお子さんが今でも後を絶ちません。
以下の病気を持っている患者さんには、成長ホルモン療法による治療は禁止または慎重に行う必要があります。
成長ホルモンは非常に高価な薬剤で、低身長の原因や患者さんの体重にもよりますが、年間約100~700万円くらいの薬代が必要となります。ただし、成長ホルモン治療の診断基準を満たせば、公的保険診療を行うことが可能となります。また、成長ホルモン治療には、保護者の医療費負担額を軽減するさまざまな医療費助成制度が設けられています。なお、こうした助成を受けるにはいくつかの手続きが必要となります。
通常の保険医療は自己負担部分を除き、みなさんが加入している公的医療保険による医療費の支払いになります。医療費が一定額を超えて高額になると「高額療養費制度」の適応になります。
さらに、各種の医療費助成制度※(小児慢性特定疾病の医療費助成制度など)を利用することができれば、自己負担額はより軽くなります。 ※ 各種の医療費助成制度には所得制限、年齢制限など、独自の認定基準があります。
監修:公立大学法人 福島県立医科大学 ふくしま国際医療科学センター 特命教授
甲状腺・内分泌センター長 横谷 進 先生