見逃されやすい内分泌疾患
原因不明と言われていたあなたの病気は、
実は内分泌疾患かもしれません!
内分泌疾患は、心臓病や糖尿病、更年期障害、うつ病など、別の病気と間違われることも少なくありません。原因不明と言われていた病気が実は、内分泌疾患であったという話も良くあります。そのため、内分泌系の疾患でないかどうかを確認するために、一度は専門の検査をお受けになるよう、お勧めいたします。
主な内分泌疾患には、下記のようなものがあります。
下垂体から分泌される成長ホルモンの過剰が原因で起こる病気です。原因のほとんどは下垂体にできる腫瘍(基本的に良性)によるものです。症状としては、唇が厚くなる、額や眉毛部・下あごが突き出てくる、声が低くなる、指輪・靴がはいらなくなる、などが挙げられます。治療の第一選択は手術療法です。手術ができない場合や手術で完治しない場合は、ソマトスタチンアナログやペグミソマントの注射による薬物療法を行うことがあります。
視床下部・下垂体後葉ホルモンの抗利尿ホルモン(バゾプレシン)の分泌低下で、体内の水分が失われて多尿(1日3リットル以上)となる病気です。多尿と、多尿による喉の渇き・多飲が主な症状です。治療は不足している抗利尿ホルモンの補充が基本で、スプレーや点鼻薬が用いられています。
甲状腺に対する自己抗体である、抗甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体抗体のために、甲状腺ホルモンが過剰に合成、分泌される病気です。症状としては、目が突出する、甲状腺が大きくなる、動悸、手足のふるえ、食欲の亢進、体重減少、イライラしやすくなる、などが挙げられます。治療としては、薬物療法・手術療法・放射性ヨード治療があります。
慢性甲状腺炎とも呼ばれます。免疫学的機序により、甲状腺が徐々に破壊される自己免疫性疾患で、甲状腺ホルモンの分泌低下を認めます。症状として、無気力、疲れやすい、むくみ、寒がり、体重増加、便秘などの症状が挙げられます。甲状腺機能低下があれば、飲み薬での治療が必要になります。
副甲状腺の腫瘍化または過形成により、副甲状腺ホルモンの産生が増加し引き起こされる病気です。副甲状腺機能亢進症の結果、血液中のカルシウムが上昇します。軽度上昇なら無症状のことも多いですが、高値になると、疲れやすい、悪心・嘔吐、喉の渇き、多飲・多尿、尿路結石などの症状があらわれてくることがあります。治療は、手術療法が根本的治療になります。
副腎腫瘍、下垂体腺種などにより、コルチゾールというホルモンが過剰に分泌されて起こる疾患です。中心性肥満(顔が丸くなったりおなかに脂肪がつきます)、皮膚が薄くなり青あざができやすい、筋力低下、うぶ毛の増加などが症状として挙げられ、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症を合併することもあります。治療は、過剰なホルモンを作っている腫瘍を手術で切除することが第一選択になります。
副腎皮質からのアルドステロンが過剰に分泌され、高血圧・低カリウム血症を起こす病気です。原因としては腫瘍によるものが多く、症状としては、高血圧以外には無症状のことが多いですが、低カリウム血症に伴う、多尿、筋力低下がみられることがあります。治療は、手術療法と薬物療法があります。
副腎髄質、傍神経節細胞から発生する腫瘍により、カテコールアミンなどが大量に分泌される病気です。症状として典型的なものとしては、高血圧、発汗、動悸、頭痛などがあげられます。なかには無症状のこともあり、CTなどで偶然発見されることもあります。治療は、血圧を安定化させた後に、外科的治療で腫瘍を摘出することが原則です。
精巣機能低下症は、精巣に原因がある原発性精巣機能低下症と、視床下部・下垂体系に原因がある続発性精巣機能低下症とに分類されます。卵巣機能低下症は、卵巣に原因がある原発性卵巣機能低下症と、視床下部・下垂体に原因がある続発性卵巣機能低下症とに分類されます。治療としては、ホルモン補充療法を行います。
内臓のホルモン分泌異常によって起こるタイプの高血圧です。腎性高血圧(腎臓の病気が元で起こる高血圧)に次いで頻度の高い二次性高血圧症です。
バセドウ病などの甲状腺機能亢進で生じるケースが多いのですが、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など、副腎の病気でも起こってきます。
内分泌性高血圧は、血圧が上昇する原因が明らかであり、原因疾患を根本から治療できれば、完治あるいは軽減させることができます。