現在、当院での禁煙外来にて使用している治療薬であるチャンピックス錠、ニコチンパッチが出荷保留となり、安定供給が難しくなりました。
つきましては、禁煙外来の新規患者受け入れを当面の間、停止させていただきます。
喫煙も生活習慣病です。
喫煙は動脈硬化を促進し、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞などを起こしやすくします。
また肺癌、口腔癌、喉頭癌、食道癌など、致死的な病気の原因となります。
長寿のための生活習慣病のトータルケアの一環として禁煙は非常に重要です。
当院では保険適用による禁煙治療を行っております。
タバコがやめられないのはその人の意志が弱いからではなく、ニコチンが強い依存性を有しているからで、このような喫煙習慣を「ニコチン依存症」と呼んでいます。
このようなニコチン依存症の方に対しては、保険診療でお薬を使って禁煙の手助けをすることが可能なのですが、施設基準の規定がありどこでも可能というわけではありません。
当院はニコチン依存症に対する禁煙治療の施設基準を満たしており、保険診療が可能ですので、禁煙治療をご希望の方はお気軽にご相談ください。
ファイザー製薬の禁煙補助薬「チャンピックス」と、ノバルティスファーマの禁煙補助薬「ニコチネル」を保険適用処方いたします。
検査と問診の結果により、保険適用で禁煙に取り組むことが可能です。
これにより、禁煙への敷居を一段と低くすることができると思います。
禁煙を思い立った方は、ぜひ当クリニックをご利用ください。
健康保険が使えます
禁煙治療には健康保険が使えます。
ただし、保険適応が可能かどうかは以下の、以下のような条件を満たすことが必要です。
(喫煙歴がある程度あり禁煙が困難な人は殆ど該当するような基準です。)
◆1ヵ月以内に禁煙を始めたいと思っている。
◆ニコチン依存症と診断されている(これは、問診テストで診断します。)。
◆喫煙指数(ブリンクマン指数=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上。
※ただし35歳未満の禁煙を希望する者に関しては200未満でも保険適応による禁煙治療が可能です。
◆禁煙治療を受けることに文書で同意している。
(通院の間隔やお薬の服用の仕方などを守って頂く必要がありますので、治療に対する同意が必要となります)。
費用はいくら位かかるの?
保険診療の適応があれば、費用負担が軽減されます。
3割負担の方であれば、初診時には初診料・指導料・薬剤費を合わせ、2週間分で約3,200円が必要になります。
保険診療の場合には、初診と2週間後、4週間後、8週間後、12週間後の合計5回の受診が必要となり、負担額の合計は、12週間(約3カ月)で17,000円程になります。
一箱300円のタバコ57箱分に相当しますので、タバコ代のことを考えると決して高くはありません。
禁煙治療をご希望の方は、お気軽に当院に御相談下さい。
禁煙補助薬には貼り薬と飲み薬の2タイプがあります。
①ニコチンパッチ(ニコチンネルTTS)
◆ニコチンを含んだ貼り薬です。
◆禁煙に伴う離脱症状、切望感を軽くします。
◆1日1回朝に腕などに貼ります。
◆普通は8週間使います。
◆簡単ですが、血液中のニコチンを増やすお薬です。
◆タバコを吸うとニコチン濃度が上がります。
②経口禁煙補助薬(チャンピックス)
◆ニコチンを含まない飲み薬です。
◆禁煙に伴う離脱症状、切望感を軽くします。
◆喫煙による満足感を減らして止めやすくします。
◆1週間までは徐々に増やしていきます。
◆普通は12週間使います。
◆飲み薬ですが、ニコチン製剤ではないので、喫煙されても美味しくないタバコとなって、禁煙率は高い薬です。
◆副作用は出にくいです。
喫煙による健康被害について
寿命への影響
がんやその他いろいろな病気のおこる危険が高くなるため、寿命は喫煙者では非喫煙者と比べ短くなるとの報告が多く見られます。
実際、英国の研究では喫煙を続けることで寿命が平均10年短くなり、35歳の人が70歳まで生きていられる確率が、非喫煙者の81%に対し、喫煙者は58%と報告されています。
がん
たばこには発がん性物質と発がん促進物質の両方が多数含まれているため、さまざまながんを発生しやすくします。
特に肺がんについては、喫煙者の死亡率、疾病率ともに非常に高い数値を示しています。
「1日の喫煙本数×喫煙年数」が600を超えると、肺がんの中の扁平上皮がんは発症率が非喫煙者の21倍以上になり、腺がんも2.38倍となります。
肺がん以外にも耳鼻咽喉科領域のがんで危険は高くなりやすく、喉頭がんは非喫煙者の32.5倍の死亡率との報告もあります。
喫煙によるがんの悪影響は下の図のように報告されています。
心筋梗塞や脳卒中
心筋梗塞や脳梗塞のもとになる動脈硬化は喫煙によって進行しやすくなります。
その結果、タバコを吸っている人では吸っていない人に比べ、心筋梗塞の発症率が男性で3.64倍、女性で2.90倍高くなります。
また、脳卒中の発症率は男女合わせて2.8倍高くなります。
ただし、心筋梗塞は禁煙を続けることでタバコを吸っていなかった人とほとんど同じレベルまで危険を減らすことが期待でき、脳卒中も数年禁煙
を続けると危険を半減することが期待できます。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDとは男性に多く見られる肺の病気で、現在40歳以上の日本人の12人に1人がCOPDと考えられています。
この病気の原因は空気中の有害物質による肺の傷害であり、その主たるものが喫煙です。
COPDの人が喫煙を続けると病状は増悪の一途をたどり、最終的には、酸素吸入を一日中必要とする様な状態になってしまいますので、何よりも禁煙が重要となります。
妊娠と出産
喫煙している人は不妊のリスクが高くなり、妊娠しても流産や早産の危険が高くなってしまいます。
喫煙の悪影響は女性の方が受けやすいという報告もありますし、女性は妊娠していなくても禁煙することをお勧めします。
骨粗しょう症
骨粗しょう症は女性に多く見られる病気で、年齢とともに骨の密度が低くなり、進行すると転倒したり重い物を持ったりといった、ちょっとした衝撃で骨折してしまいます。
こういった骨折がもとで高齢者の活動範囲が狭まってしまい、ひどい時には寝たきりになってしまいます。
喫煙により骨粗鬆症の危険が高くなることも報告されています。
禁煙関連サイト
以下の外部サイトの情報もご覧ください。
・ファイザー社 「すぐ禁煙」
・ノバルティス社 「いい禁煙」
・ジョンソンエンドジョンソン社 「禁煙にチャレンジ」
・日本禁煙学会
・禁煙治療に保険が使える医療機関情報